保育問題資料政府は「新システム」で幼稚園と保育所を「一体化」すれば、〝質の高い教育・保育が実現〟〝待機児童が解決〟などといってきました。しかし実態は、そうなっていません。 質の改善は後回しもともと今回の「一体化」は、"認可保育所をつくるより、空きのある幼稚園を利用すれば安上がり"という考えから出発しています。そのため肝心の、「幼保一体」で子どもたちにどういう保育・教育を保障するのか、質をどう改善するかなどはほとんど議論せずに、施設や制度の「一体化」だけを急いできたのです。 待機児童対策としても問題があります。保育所は親の仕事にあわせて0歳児から預かり、早朝から夜まで開所していますが、幼稚園は3歳以上児を対象に午前中が基本で、夏休みもあります。給食室など施設や職員の基準も違います。幼稚園にとって、経験のない0~2歳児の受け入れや長時間の保育は簡単なことではありません。 混乱や悪影響心配しかも政府は、「一体化」施設は幼稚園か保育所のどちらかの基準を満たせばよいとして、保育条件の引き下げを認めています。こんなやり方では混乱や子どもへの悪影響が心配だとして、幼稚園関係者などが強く反対してきたのは当然です。 結局、政府も、一体型の「総合こども園」の他に、幼稚園のまま残る施設、3歳未満の保育所などに分かれる複雑な制度をつくることにしたのです。また幼稚園から一体型になる施設には、一番待機児童の多い0~2歳の受け入れ義務づけも断念したために、待機児童解消も見込めなくなっています。 本来、待機児童の解決には、国と自治体の責任で認可保育所をつくるべきです。幼稚園と保育所のあり方については時間をかけしっかり議論することが大切です。そして幼稚園1クラス35人、保育所4歳以上児30人に先生1人という、世界でも遅れた保育・教育条件の改善こそ急いですすめるべきです。 2012年03月08日「赤旗」 |
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