2003年3月16日(日)「しんぶん赤旗」
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反共謀略本を出版した未来書房の海野安雄(うんの・やすお)社長は、取材班の追及のなか、未来書房「本店」がある立川市幸町の公団住宅から二月末、逃げるように姿を消しました(連載2)。
その後、取材班は携帯電話番号をつきとめ、質問をこころみました。
――海野さんですか。
海野 はい。
――「赤旗」の記者です。
海野 はい。はい。
――未来書房の本を日本共産党が名誉棄損と著作権法違反で告訴・告発したのは知っていますか。
海野 ああ、知っていますよ。訴状(注、告訴・告発状を間違えている)も届いてないし、コメントしようがない。いま治療中なんです。提訴されたならそれでいいでしょう。(プツッ)
肝心の質問に入る前に電話を切りました。再度電話すると、「いま点滴中だ」といってまた電話を切り、以後、沈黙を続けています。
複数の人物から興味深い証言を得ました。
「創価学会員としての活動を知っている」と語る一人は、「海野氏は東京・立川市に移る前には新宿で創価学会の地域役員をしていた」と証言しました。証言者は海野氏とともに創価学会で活動した体験を持つ人。海野氏が創価学会員であることはもう動かしがたい。
「フリーライター」としての海野氏の活動を知る別の一人は以下のように語ります。
――二〇〇〇年、情報誌に「共産党系『耳原病院』(大阪)の院内感染事故で隠蔽(ぺい)工作疑惑」という「山田要」名の記事が載った。この記事は海野氏が持ちこんできたものだ。
――書いたのは海野氏が頼んだライター。しかし、原稿料は海野氏の会社に振りこまれた。
海野氏は今回の本だけでなく、全日本民主医療機関連合会加盟の病院を中傷攻撃する記事にもかかわっていたのです。
海野氏には「NPO法人大久保文化振興協議会理事」(東京都新宿区歌舞伎町二の四一の一二)という肩書きも。
創価学会本部で広報戦略にかかわっていた元学会幹部は語ります。
「私自身の体験でも、学会員ライターや学会に協力するライターを使い、正体を隠してさまざまな名前で記事や本を出させたことがある。正体を隠した方が客観性を装えるからだ。原稿のチェックをする担当者もいた」
謀略本の背後関係――。その焦点は間違いなく公明党と「一体不二」の創価学会です。
(2)鳩レース会社変身の裏で
(3)潮出版社に頼まれた
(4)創価学会人脈と裏事務所
(5)4つの名前をもつ男
(6)販売より広告自体が目的
(7)広告基準に反している
(8)中づり広告、背後に…
(9)製本所は長野だった
(10)未来書房社長の素顔
(11)問われるべきは、だれか