日本共産党

2003年3月9日(日)「しんぶん赤旗」

日本共産党が告訴・告発

反共謀略本の正体を追う(4)

創価学会人脈と裏事務所


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未来書房の秘密事務所の表札にあった「ギョエンエイジェントシステム」の文字(上)は、三月はじめになくなった(下)=東京・新宿区新宿

 謀略は、その醜い正体が明るみに出ると、逆に最大の弱さに変わります。反共謀略本で日本共産党の名誉を棄損し、著作権を侵害した未来書房(海野安雄代表取締役)はまさにその実例です。

 未来書房の背後に創価学会・公明党がいることはこれまでの三回の連載でほとんど疑問の余地がなくなりました。正体を取材班に追及された未来書房は、登記上の「本店」である公団賃貸住宅の一室(海野宅)から逃げるように撤退しました。(連載2)

手段を選ばない

 しかし、明るみに出すべき謀略の闇はまだまだ深い。取材すればするほど、目的のためには手段を選ばない、この組織の驚くべき謀略手法が見えてくるのです。

 東京都新宿区新宿2の2の4の9D。

 新宿御苑に近い十二階建てマンションの一室に「ギョエンエージェントシステム」というシールを掲げた部屋があります。ここは未来書房と何の関係もない部屋に見えます。

 取材班は、本紙に寄せられた情報をたどり、事務所の賃貸名義人が未来書房であることを確認しました。借りたのは海野安雄社長その人でした。未来書房の秘密の事務所だったのです。

 部屋の所有者の女性は語ります。

 「未来書房との契約はことし一月から。しかし、(海野氏が)当分入院になるから引っ越したい、ということで、いきなり二月いっぱいで解約したいといってきた」

 謀略本出版は昨年末。海野社長が自宅から消えたのは二月末。これにあわせて秘密事務所も現れ、そして消えたのです。

 取材班は何回かこの部屋を訪問しましたが、いつも返事がありません。

 部屋を借りるさいの保証人は「岡謙二」という名前でした。本紙によせられた出版取次大手、日本出版販売(日販)の内部文書には、未来書房について「営業担当 岡謙二」という記述がありました。この人物は日本共産党の告訴・告発状で、「未来書房関係者」として被告訴人の一人になっています。

『第三文明』登場

 実は、この同じ名前が創価学会直系の雑誌『第三文明』にも執筆者として登場します。『第三文明』は、池田大作氏の「私の人生記録」を長期連載したり、反創価学会の人物を口汚くののしるなど創価学会系有力宣伝物。

 取材班は新宿区内で、岡氏を直撃取材しました。岡氏は、自身が創価学会員であることを認め、『第三文明』に執筆していたことも認めました。

 未来書房「営業担当」などの役割は否定しましたが、海野氏とはかねてからの知り合いで、未来書房が「共産党をたたく本を出した」ことも承知のうえで、保証人となったことを認めました。

 未来書房と海野氏の創価学会人脈がまたしても浮上したのです。

 海野氏の過去をたどると、その謀略手法はさらに明らかになってきます。(つづく)


(1)大手取次店文書は語る 池田大作本といっしょに

(2)鳩レース会社変身の裏で

(3)潮出版社に頼まれた

(4)創価学会人脈と裏事務所

(5)4つの名前をもつ男

(6)販売より広告自体が目的

(7)広告基準に反している

(8)中づり広告、背後に…

(9)製本所は長野だった

(10)未来書房社長の素顔

(11)問われるべきは、だれか


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