2003年3月13日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の名誉を棄損する広告そのものが目的だった未来書房の反共謀略本――。
「これが許されたら大変だ」という声が出版関係者から出ています。
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ある団体が正体を隠して本を出版する。その本の「広告」という装いで政党や個人を中傷する…。こんな手法が広がれば、公共空間である車内は資金を持つ勢力による誹謗(ひぼう)中傷の場になってしまうからです。
公共交通機関の広告には、広告の内容を審査し規制する基準がありました。
JR東日本の車内中づり広告を扱っているのは、関連会社のジェイアール東日本企画。このジェイ社は、JR東日本と広告業務委託契約をむすんでおり、そこにはこう規定されていました。
「(ジェイ社は)広告内容が次の基準に該当し、またはそのおそれがある場合はその広告を掲出してはならない」
「特定の政治活動のためにするもの」
「特定の個人または団体等を誹謗し、名誉または信用を傷つけるもの」
「その他これらに準ずるもの」
JR東日本はじめ鉄道十一社でつくる関東交通広告協議会でも、「広告掲出審査判断基準」があります。
そこでも「特定の政治宣伝、宗教宣伝を主目的としていないか」「人権侵害、名誉棄損などの恐れはないか」などが基準です。この諸規定からすれば未来書房の広告は許されなかったはずです。
一九九五年八月、首都圏のJR東日本の車両に掲示予定だった「赤旗」日曜版の中づり広告が掲示前日に取り消される事件が起きました。
ジェイ社の取り消し理由は前出規定にある「特定の政治活動になる」ということ。いかなる団体・個人も攻撃せず、ただ「赤旗」日曜版を紹介するだけだったこの広告は、のちに東京地裁も「掲示せよ」と仮処分決定しました(その後ジェイ社が損害賠償などを支払うことで和解)。
当時の異常な対応も問題ですが、基準を無視し名誉棄損を助けた今回の対応はどうしたことか――。(つづく)
(2)鳩レース会社変身の裏で
(3)潮出版社に頼まれた
(4)創価学会人脈と裏事務所
(5)4つの名前をもつ男
(6)販売より広告自体が目的
(7)広告基準に反している
(8)中づり広告、背後に…
(9)製本所は長野だった
(10)未来書房社長の素顔
(11)問われるべきは、だれか