2003年3月12日(水)「しんぶん赤旗」
約二千二百万円。
未来書房が二月、JR東日本はじめ首都圏の電車内に、反共謀略本の中づり広告をだした費用です。これだけではなく、新聞の出版広告にも推計五百万円前後の金をかけています。
たった一冊の本に二千七百万円もの広告費用をかける。それがどんなに異常なことか、調べるほどにわかってきました。
出版関係者は、本の広告費用は「出版社の売り上げ(定価の七割)の最大10%が常識」と口をそろえます。これで逆算すると、売り始めの時期に、三十万部以上は売れると見込んでいたことになります。三十万部というのはすごい数字です。
ミリオンセラーになった『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でも初版部数は約十七万部。創価学会本の池田大作対談集『地球対談 輝く女性の世紀へ』(主婦の友社発行)でさえも昨年三月から昨年末までの累計で約十万部(出版取次資料)にすぎません。
池田本をしのぐ部数になるはずはなく、実際、取材班の調べでは、反共謀略本は初版二万部、増刷数万部で総計せいぜい七万部です。しかもその多くは、連載1でふれたように、創価学会・公明党の買い取りをあてこんでおり、本を売るための宣伝広告などもともと必要がないのです。売ることよりも「広告自体」が目的――それが真相です。
二月十七日付の創価学会機関紙「聖教新聞」の幹部座談会に興味深い発言があります。
「…オーバーな見出しを立てて、電車の中吊りや新聞広告で大々的に宣伝する」
「記事を読まなくても、広告の見出しだけで、何百万人もの人々に悪印象を植え付ける。たとえ、その記事が裁判で断罪されても、広告の責任までは厳しく問われない」
これは創価学会が雑誌広告を“批判”した言葉ですが、これこそ、今回の日本共産党攻撃の手口そのもの。効果は承知のうえなのです。
広告の実態をさらに追跡しました。(つづく)
(2)鳩レース会社変身の裏で
(3)潮出版社に頼まれた
(4)創価学会人脈と裏事務所
(5)4つの名前をもつ男
(6)販売より広告自体が目的
(7)広告基準に反している
(8)中づり広告、背後に…
(9)製本所は長野だった
(10)未来書房社長の素顔
(11)問われるべきは、だれか