2003年3月15日(土)「しんぶん赤旗」
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「本は長野県からきました」
取材班は未来書房の反共謀略本を保管した輪匠(りんしょう)倉庫(埼玉県新座市)の業務部長から、こんな証言を得ました(連載3)。
長野県のどこからきたのか−−。取材班はその後の調べで、製本会社をつきとめました。
株式会社渋谷文泉閣。
長野市に本社を置く製本会社です。帝国データバンクによると製本業では、長野県内最大手。日産八万冊を製本できる企業です。
同社には、二つの工場があります。本社工場と柳原事務所です。問題の反共謀略本は、柳原事務所で製本されました。
取材班にたいし、同社の営業部長は、全面否定しました。
「どこの業者がそんなことをいっているのですか。出所がわからないのでなんともいえませんが、とにかくいっさい知りません」
しかし、製本は社内で秘密にできるものではありません。印刷物を運び、完成本を運ぶ流通業者なども知りうるからです。そんな関係者が語ります。
「たしかに渋谷文泉閣という製本会社から本が発送されました。私は見たのですから。製本は十二月末から始まっています」
それにしてもなぜ長野か−−。
取材班はさらに長野と未来書房の接点を発見しました。
東京都立川市に会社登記される前の未来書房が二〇〇一年八月二十四日に出版した『カシス・ポリフェノール 驚異の効果』という本があります。発行者は「海野靖雄」。海野安雄未来書房社長の別名です。
この本を通信販売しているホームページでは、「未来書房 販売部」として長野県伊那市の住所が記されていました。
住所を調べると驚くべきことがわかりました。元公明党の伊那市議だった飯島尚幸氏と同じ住所だったのです。飯島元市議は創価学会機関紙「聖教新聞」の元記者。九八年に友人の暴力団組員の公判に出廷。組員の情状をのべたことで批判され市議を辞職した人物です。
取材班が飯島元市議に繰り返し質問しました。「あなたに答えることはない」といい、まともな説明はありませんでした。
(2)鳩レース会社変身の裏で
(3)潮出版社に頼まれた
(4)創価学会人脈と裏事務所
(5)4つの名前をもつ男
(6)販売より広告自体が目的
(7)広告基準に反している
(8)中づり広告、背後に…
(9)製本所は長野だった
(10)未来書房社長の素顔
(11)問われるべきは、だれか