2003年3月8日(土)「しんぶん赤旗」
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北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を棄損し、著作権を侵害した『拉致被害者と日本人妻を返せ』(未来書房刊)。本紙によせられた情報をもとに、取材班はこの反共謀略本の倉庫となった企業をつきとめました。
株式会社「輪匠(りんしょう)倉庫」(鎧塚澄雄社長)。
埼玉県新座市にある小さな倉庫会社です。敷地内のブロック塀には公明党のポスターが。
帝国データバンクの資料によると同社の取引先のなかに潮出版社がありました。潮出版社は、創価学会名誉会長・池田大作氏が毎号のように登場する雑誌『潮』を出版。創価学会公式ホームページで聖教新聞などと並んで「関連団体」とされる学会直系企業です。
この倉庫会社がどういういきさつで反共謀略本を保管し、流通させたのか。誰が依頼してきたのか。海野安雄未来書房社長とはどういう関係だったのか−−。
取材班は、率直に電話で質問をぶつけることにしました。応対したのは同倉庫の業務部長。取材の意図を話し、日本共産党を“闇討ち”するような本のことを説明していくと、以下のような重要な回答が返ってきました。
−−未来書房の海野社長とは電話で話しただけで、直接の面識はない。海野社長からの連絡は先方から一方的に来る。
−−取引先の出版社から(未来書房の本の出版を)やる人がいるんだけど、荷物だけ預かってくれないかと言ってきた。それで預かった。未来書房からの直接の依頼ではない。だから海野さんにも会ったこともない。
では、未来書房の本を預かるよう依頼した「取引先」とは潮出版なのか−−。やりとりは核心に入りました。
「そうそう。潮出版から一月早々に電話で(依頼が)きた。一覧表でどこに配送してくれと」
−潮出版の誰ですか。
「いつもの担当者とは違う人」
−この本を未来書房から出すということで、潮出版から具体的な注文がきたわけですね。
「はい。その後に海野さんがよろしくと連絡してきた。支払いは、一冊、一冊にかかりますよね。一冊の値段などを出したわけです。それで潮出版の担当者の人に了解を得ている」
−潮出版の担当者と支払いも含めて相談した?
「そうです」
−部数はどれだけですか。
「東販に五千、日販に二千とか、そういう形で五万部全部を発送した」「本は長野県からきました。量でいうと四トントラック三台分。十日以内に全部出た」
海野社長の背後にいたのはまさに創価学会直系企業。その企業が反共謀略本に深く関与していた実態が業務部長の証言で裏付けられたのです。(つづく)
(2)鳩レース会社変身の裏で
(3)潮出版社に頼まれた
(4)創価学会人脈と裏事務所
(5)4つの名前をもつ男
(6)販売より広告自体が目的
(7)広告基準に反している
(8)中づり広告、背後に…
(9)製本所は長野だった
(10)未来書房社長の素顔
(11)問われるべきは、だれか