虎の威借りる「四天王」
「外部委員(特別顧問)から職員に直接指示を受けることがある。『従わなければ知事に指示を出してもらう』とまで言われる。府の意思決定の仕組みとしておかしいのではないか」。大阪府の小西禎一総務部長が府戦略本部会議(2月20日)の場でこう疑問を呈しました。
時給1万円超
「独裁の司令塔」になっている大阪府市統合本部会議で、存在感を発揮しているのが特別顧問、特別参与です。その数57人。議会の同意を得たわけでもないブレーンが橋下徹・大阪市長の"虎の威"を借りて強大な権限をふるっているのです。
特別顧問への謝礼は時給約1万1000円。統合本部事務局を担当する府大都市制度室の担当者によると、4月だけでも謝礼・交通費で195万円を支払っています。
多数いる特別顧問のなかでも統合本部の「四天王」と呼ばれているのが堺屋太一(元経済企画庁長官)、上山信一(慶応大学教授、元運輸官僚)、古賀茂明(元国家公務員制度改革推進本部審議官)、原英史(元行革担当相補佐官)の4氏です。
最も橋下市長の信頼が厚いといわれる上山氏は、「大阪維新の会」の具体的な政治指針が記されていると維新の会が認めている『大阪維新』の著者。コンサルティング会社「マッキンゼー」の元共同経営者でもあります。関淳一大阪市長時代にもアドバイザーとして民営化など新自由主義的な施策を提唱しました。
財界も影響力
4人は、いずれも高級官僚出身で、極端な新自由主義者という点も共通しています。
大阪の政財界に人脈を持つマスコミ幹部は、こう解説します。「上山氏は、関市長時代に地下鉄民営化などをすすめようとしたが、平松邦夫市長に代わってから影響力を失っていた。古賀、原両氏は、みんなの党の渡辺喜美代表が行革相(自民党時代)だったときの側近。つまり、過激な新自由主義を主張して周囲から浮き上がっていた元官僚が橋下市長のもとに集結して、市民サービスを無視した民営化路線に突っ走ろうとしている」
統合本部会議の場では、財界人も影響力を発揮しています。第14回会議(6月19日)には関西経済連合会、大阪商工会議所、関西経済同友会という関西財界3団体の幹部が参加しました。
この日の会議では「グランドデザイン・大阪」構想を議論。構想には高速道路やリニア新幹線などのインフラ整備、カジノなどの「国際観光エンターテイメント」事業が盛り込まれています。
「市長が(国会議員の)首根っこを押さえれば(カジノ新法は)できる」(関西経済同友会の齋藤行巨常任幹事)―。財界代表は、自分たちの要求を露骨に次々と持ち出します。
統合本部で橋下市長とブレーンがすすめようとしていること。それは住民を無視した財界主導の街壊し、暮らし破壊、民主主義破壊そのものです。
(「赤旗」2012年7月6日付)
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