2025年4月7日(月)
121自治体庁舎に生理用品
926自治体で無償の取り組み
内閣府調査
「生理用品を市役所のトイレに」とSNSに投稿した日本共産党の吉田紋華(あやか)三重県議に対し大量の殺害予告が来たことに「当然のことを言っているのにありえない」と憤りの声が国内外で広がっています。吉田県議の投稿の正当性を裏づけるように国や自治体の負担で設置が進んでいます。(染矢ゆう子、都光子)
![]() (写真)熊本県人吉市役所に設置している生理用品(同市ホームページから) |
内閣府は2021年から自治体での生理用品の無償配布のとりくみを調べています。経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいるという「生理の貧困」がコロナ禍で顕在化したことをうけたものです。
今年2月公表の調査結果では過半数の926自治体が無償配布にとりくんでいます。とりくむ理由は実施する自治体が増えたことや住民の要望があったこと。「まだ自治体すべてで行っているわけではありません。調査結果を公表することで広がってほしい」と内閣府担当者は語ります。
同調査によると全公立高校のトイレに生理用品を置いている都県は15で、全小中学校のトイレに設置している区市町村は295に上ることがわかりました。15県の県庁所在地が全小中学校に設置しています。
22年3月の『女性のひろば』編集部の独自調査に比べ高校で設置した県は2倍超、小中学校では6倍近くに広がっています。
吉田県議の投稿にある庁舎トイレに生理用品を置いている自治体は東京都や群馬県、横浜市、熊本市など121自治体に上ります。
“尊厳もって過ごせるように”
購入・入手に苦労 10~20代は13% 厚労省22年調査
厚生労働省の調査(2022年3月)では生理用品の購入・入手に苦労したことがある人は8・1%。10~20代では13%に上りました。
21年度からは国の地域女性活躍推進交付金を活用して自治体が生理用品を提供することも可能になりました。
内閣府の今年2月の調査結果では、生理用品の無償提供により「父子家庭の生徒が生理用品等の相談を学校でできるようになった」「生理用品と同封された相談窓口の情報を通じて、生活困窮世帯が生活保護制度の申請につながった」などの支援につながった例があるといいます。
東京都杉並区の岸本聡子区長はXで「2022年から全区立小中学校で生理用品の無料配布をトイレで行っています。トイレットペーパーと同じように必要な人が入手できるようにという気持ちです」「すべての人が尊厳をもって生理期間を過ごせるようにとりくんでまいります」と発信しています。
兵庫県淡路市は市役所のトイレに生理用品を置く目的を「突然生理用品が必要になる事態などの精神的負担を軽減し、『生理の尊厳』を守る」ためだと「広報淡路」(23年5月号)でのべています。