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日本共産党

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2025年4月7日(月)

戦争する国づくりと正面対決

危険な法案次々 共産党告発

後半国会の焦点

 石破自公政権は今国会で、米国と一体に戦争する国づくりを推進する法案を次々と強行しようとしています。日本共産党は法案の危険性を告発し、正面から対峙(たいじ)しています。

能動的サイバー法案

 国民の通信情報を常時収集・監視し、政府の判断で警察・自衛隊がサーバーに侵入・「無害化」=破壊できる「能動的サイバー防御法案」。4日の衆院内閣委員会で自民、公明、立民、維新、国民民主などの賛成多数で可決しましたが、日本共産党の論戦で、同法案が憲法と国際法を踏みにじり、戦争の危険を呼び込むものであることが浮き彫りになっています。

 自衛隊・警察が疑わしいサーバーに侵入・監視しその機器を使用不能にする「アクセス・無害化措置」を海外の機器に対して行えば、相手国への主権侵害となる危険があり、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。

 政府は、「グレーゾーン事態」や安保法制に基づく「重要影響事態」で、米国が軍事行動を行う相手国に対し「アクセス・無害化措置」が可能だと認めました。日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、先制的に同措置に踏み切れば、日本側から参戦してきたとみなされかねません。

学術会議

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(写真)学術会議法案の撤回を求め記者会見する学者ら=3月13日、参院議員会館

 日本学術会議法案は、「国の特別の機関」として設置されている学術会議を特殊法人とし、同会議の独立性を侵害し、政府からの介入を強める内容です。日本の平和的復興と人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と連携して学術の進歩に寄与すると表明した現行法の前文は削除します。戦争協力させられた戦前の反省にたった戦後の学術の出発点を否定。背景には、学問の軍事利用を進める日米同盟強化や財界の動きがあります。

半導体産業支援

 ラピダスなど一部の半導体企業に10兆円以上の公的支援を行うラピダス・半導体産業支援法案は、衆院経済産業委員会で審議されています。

 ラピダスにはすでに1兆7000億円以上の公的資金の投入が決まっています。日本共産党の辰巳孝太郎議員は、米国防総省の報告書が軍用半導体について日本との共同製造に言及していることや、ラピダス幹部が「重要な部分は国防の領域」など米兵器への利用を語っていることを告発。政府が巨額の税金を投じて支援する背景には、ラピダスが生産した半導体を米軍の兵器に利用したい米国の意向があるのではないかと指摘しています。

 政府はかつて半導体メーカーへ公的資金を投入したものの破綻し、約280億円もの国民負担をもたらしています。今回の半導体企業支援は桁違いの公的資金投入であり、失敗すれば国民負担がさらに巨額になる危険があります。

市民生活に重大な危険

国民の願い実現こそ

 市民生活に大きくかかわる重大な危険がある法案の審議も進められています。

刑事デジタル法案

 衆院で審議中の刑事デジタル法案は、書面や対面で行われている刑事手続きを電子データによる令状などの発付・執行に変更し、刑罰によってデータの提供を強制する「電磁的記録提供命令」を創設します。

 しかし同制度にはデータの利用目的の規制や消去義務など市民の権利保護の規定がありません。犯罪と関係のない市民のスマートフォンやインターネット上の膨大なプライバシー情報や企業・団体の秘密情報を、捜査機関が収集・蓄積・利用する恐れがあります。

 日弁連は会長声明で「捜査機関によって私的領域が侵され、市民のプライバシーの権利等が侵害される危険性は極めて大きく、現実的だ」と指摘しています。

給特法改定案

 自民党が10日の審議入りを提案している給特法(公立教員給与特別措置法)改定案は、教員の“定額働かせ放題”を続ける内容。「これでは学校がもたない」という深刻な現状を放置するものです。

 教員を異常な長時間労働に追いやっている原因の一つが、公立学校の教員に残業代は支給しないと定める給特法です。しかし政府は、改定案で教員の「残業代ゼロ制度」に指一本ふれていません。「教員の働き方改革」で残業時間が2016年から22年調査までに3割減ったとの文科省試算などを前提に、これまでの取り組みの延長で長時間労働を解消するなどとしています。

 ところが日本共産党の吉良よし子参院議員の追及で22年の残業時間を短く見せる“粉飾”が発覚。法案の前提が問われます。日本共産党が訴える、教員残業代ゼロ制度の廃止、授業に見合った教員定数の改善こそ必要です。

年金改革関連法案

 政府与党は、5年に1度の制度改正を迎える年金制度改革関連法案をいまだ国会に提出できていません。

 同法案は与野党が今国会で特に重要と位置づける「重要広範議案」の一つ。政府案は物価が上昇しても年金が自動的に減り続ける「マクロ経済スライド」を温存します。厚生労働省は昨年、年金積立金と国費を投じて「マクロ経済スライド」による調整期間を短くし、基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする案を示しましたが、与党内で慎重論が根強いといいます。

 小池晃書記局長は3月10日の記者会見で「重要広範議案すら提出できないのは、あまり例がない。政府の法案に重大な問題があることの証明だ」と指摘。今国会に提出すべきではないと強調しました。物価高騰が高齢者の家計を直撃するなか、「暮らせる年金」の早急な実現が求められます。

選択的夫婦別姓

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(写真)「選択的夫婦別姓制度の導入に反対する候補者には投票しない」と訴える「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」の人たち=4日、衆院第2議員会館

 世論の高まりのなか今国会での実現が大きな焦点となっているのが選択的夫婦別姓制度の導入です。法相の諮問機関である法制審議会が同制度を導入する民法改正要綱を答申して29年。「今国会で与野党の枠を超えて法改正の実現を」と市民や団体が活発に声を上げ、日本共産党や立憲民主党、公明党なども制度の実現を訴えています。

 日本共産党は運動と呼応し、国会論戦を通じて速やかな実現を政府に迫っています。本村伸子衆院議員は「氏名は人が個人として尊重される基礎」だとして、制度が実現しないことで多くの女性らの人格権が損なわれていると告発。選択的夫婦別姓こそ、結婚する両者のアイデンティティーを守る「個人の尊厳と本質的平等」(憲法24条2項)に立脚する制度だと主張しました。(2月18日)

 仁比聡平参院議員は、夫婦同姓を強いる現行制度が、大日本帝国憲法下の「家制度」と不可分に始まったと指摘。家父長制的な家族観を乗り越えて、別姓制度を実現するよう呼びかけました。(3月26日)

企業・団体献金禁止

 今国会の最大の課題の一つが、金権腐敗の温床を断つ企業・団体献金全面禁止です。共産党が一貫して提出し続けてきた企業・団体献金の全面禁止法案は、今国会で立憲民主党・日本維新の会からも提出され、大きな流れになっています。

 これに対し、裏金事件に無反省の自民党は、企業・団体献金の存続に固執。それに助け舟を出したのが、国民民主党と公明党です。3党は、企業・団体献金の存続で合意し、衆院政治改革特別委員会で立民や維新が共同提出した禁止法案を否決しようと画策。国民民主は自公の補完勢力ぶりを際立たせています。

 「朝日」の世論調査(3月)では、企業・団体献金を「禁止するべきだ」が53%と過半数を占めています。国民が求めているのは企業・団体献金禁止です。