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2025年3月23日(日)

自衛隊「統合作戦司令部」

「日米統合」掲げるも不透明

 陸海空3自衛隊の実動部隊を平時から有事まで一元的に指揮する「統合作戦司令部」は、もともと米側の要求に応じて創設され、事実上、自衛隊を全面的に米軍指揮下に組み込む「日米統合司令部」に向けた動きです。しかし、トランプ米政権の下で不透明な状況も生まれています。

「一体化」に突入

 防衛省関係者によれば、2006年の統合幕僚監部創設にあたり、陸海空の実動部隊を運用する常設統合司令部も検討されていましたが、1人の司令官に権限が集中しすぎる危険から見送られました。しかし、日米の一体化が加速する中で再浮上します。

 政府は、22年12月に決定した安保3文書で、「常設統合司令部」(統合作戦司令部)の創設を明記。防衛省は、同司令部の必要性として、ハワイにあるインド太平洋軍司令部との調整を挙げています。

 24年4月10日の日米首脳共同声明は、「シームレスな(切れ目のない)統合」に向け、日米の「指揮統制の枠組み向上」を明記。当時のバイデン米大統領は、「日米同盟発足以来、最大のアップデート(更新)」だとして、強力に推進する意向を示しました。

 同年7月28日の日米2プラス2(安全保障協議委員会)共同文書は、「在日米軍をインド太平洋軍司令官隷下の統合軍司令部として再構成し、(自衛隊)統合作戦司令部のカウンターパート(対応相手)となる」と明記しました。在日米軍司令部を抜本的に強化し、事実上の「日米統合司令部」を狙うものです。さらに共同文書は「日米間の指揮・統制構造の関係を明確に定義する」と明記。自衛隊が米軍の指揮下に置かれる可能性を示唆しています。

 自衛隊が外国軍の指揮下に入ることは、「他国の武力行使との一体化」にあたり、違憲だというのが政府見解です。日米の「シームレスな統合」が加速すれば、「一体化・指揮下」に突き進むことになります。

日本が“懇願”も

 ところが、トランプ米政権内で、歳出削減策の一環として、在日米軍の強化中止が浮上。米CNNテレビが入手した内部メモによれば、「統合軍司令部」としての再編中止も選択肢の一つです。同時に、この選択肢は「政治的リスク」があるともしており、現時点では不透明です。

 仮に在日米軍司令部の再編が中止されれば、防衛省は「はしごを外された」形になり、矛盾が深まることは避けられません。

 懸念されるのは、日米同盟にしがみつく日本側が、軍事費大幅増額などの過度な要求と引き換えに、在日米軍強化の継続を“懇願”することです。違憲の統合司令部につながる動きはただちに中止すべきです。

 米メディアの報道によれば、トランプ政権は創設以来務めてきた北大西洋条約機構(NATO)軍司令官ポストの放棄も検討しています。これらの動きは、地球規模で覇権を維持してきたアメリカ帝国主義没落の一断面といえます。