しんぶん赤旗

お問い合わせ

  • 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら

2025年3月23日(日)

自衛隊統合作戦司令部

違憲の敵基地攻撃 一元指揮

意思決定は日米共同

 陸海空自衛隊の実動部隊を平時から有事まで指揮する「統合作戦司令部」(東京・市ケ谷駐屯地、約240人)が24日発足します。同司令部は、長射程のスタンド・オフ・ミサイルなどを用いて他国領域を攻撃する「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の運用を一元的に指揮することが分かりました。九州・南西地域でのミサイル網も一元的に指揮するとみられます。(竹下岳)(関連記事)

 敵基地攻撃能力は、日本が武力攻撃を受けていない段階でも他国領域の基地や政府機関などを破壊するもので、国際法違反の先制攻撃につながるものです。歴代政権は、こうした能力の保有は憲法違反だとの立場をとってきましたが、岸田政権が2022年12月に決定した安保3文書で「反撃能力」と称し、なし崩し的に導入を決定しました。

 これを踏まえ、防衛省は米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークや、12式地対艦誘導弾能力向上型(地上発射型)といった長射程ミサイルを25年度末までに配備。射程3000キロを超える極超音速ミサイルの開発も進めています。

 防衛省統合幕僚監部の南川信隆防衛計画部長は2月27日、都内で開かれたシンポジウムで、「ミサイルの整備のみならず、目標の探知・識別・推移、発射の決心・実行、(敵に与えた損害の)評価という一連のサイクル(=キルチェーン)を一元的に指揮するのが統合作戦司令部だ」と明言しました。

 敵基地攻撃能力を円滑に運用するため、統合作戦司令部は、「スタンド・オフ統合指揮ソフトウェア」と呼ばれる専用システムを運用します。防衛省は本紙の取材に、「統合作戦司令官による指揮を支援するために、スタンド・オフ・ミサイルの運用を中核として一元的な指揮活動を円滑に実施するために整備する」と回答しました。軍需企業最大手の三菱重工が製造しており、27年3月までに納入されます。

 重大なのは、敵基地攻撃の意思決定は日米共同で行われることです。日本共産党の志位和夫議長は昨年4月22日の衆院予算委員会で、「日米共同対処」の「オペレーションのサイクル」という内部文書()を暴露。文書には、「目標情報の共有、反撃(敵基地攻撃)を行う目標の分担、成果についての評価の共有等(=キルチェーン)」を「日米で協力を行う」と明記され、「指揮統制」とも記されています。敵基地攻撃の前提である目標設定のための情報は米軍が圧倒的に優位です。統合作戦司令部を媒介として、米軍が日本の敵基地攻撃能力を運用・指揮する危険があります。

図