しんぶん赤旗

お問い合わせ

  • 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら

2025年3月16日(日)

松橋事件

国に2300万円賠償命令

熊本地裁 検察の証拠隠し認定

写真

(写真)一部勝訴の旗を出す原告側弁護士=14日、熊本地裁前

 熊本県宇城(うき)市(旧松橋=まつばせ=町)で1985年に男性が殺害された「松橋事件」で、2019年に再審(裁判のやり直し)無罪が確定した宮田浩喜さん(20年に87歳で死亡)が、警察官と検察官の証拠隠しや取り調べの違法性を訴え、国と熊本県に賠償を求めた「松橋事件国家賠償請求訴訟」の判決が14日、熊本地裁であり、品川英基裁判長が国に2300万円余の賠償を命じる判決を言い渡しました。一方、県への請求は棄却しました。

 同訴訟は、13年の服役の後、冤罪(えんざい)を晴らした宮田さんが同事件での警察官と検察官の証拠隠しや違法な取り調べで長期間の身柄拘束を受けたとして国賠訴訟を提起していたもの。宮田さんの遺族が裁判を引き継ぎました。

 判決では、検察の重要な証拠隠し(有罪と判断できない自白の矛盾を立証する布の存在)など裁判遂行上の違法性があると認定。うその自白をさせられるなど過酷な任意捜査をした県(警察)の取り調べの方法は免罪しました。

 判決後の記者会見で原告側弁護団の齊藤誠共同代表は一部勝訴となった判決について「強引な自白の誘導や客観的事実の無視、隠蔽(いんぺい)、改ざんなど冤罪の大きな原因に踏み込んでいないことや県の責任を認めなかったなど不十分な判決ではあったが、国に勝訴できたことは評価したい」と述べました。