2025年3月16日(日)
きょうの潮流
♪ポケットのなかにはビスケットがひとつ~。まど・みちおさん作詞の「ふしぎなポケット」は、まだ戦後の貧しい時期に書かれました。その空腹感から生まれたという説もあります▼ポケットをたたいてみるたびに、増えていくビスケット。食べ物にも不自由した頃に思いをめぐらせれば、楽しげな歌のなかに物悲しさも漂います。そんなふしぎなポケットがほしい―と▼さて、この人のポケットはどうか。先の衆院選で初当選した自民党議員15人に10万円の商品券を配っていた石破首相です。首相公邸で開いた会食のお土産代わりにポケットマネーから出したと言い訳していますが、こうした高額「接待」はこれまでもあったと明かしました▼まるで打ち出の小槌(こづち)のようなポケット。パーティーや飲み食い、政治家へのせんべつや商品券…。党利党略、私利私欲に税金を流用してきた官房機密費という“隠れポケット”から出したのではと疑われても当然でしょう▼まさに底抜けのカネまみれ。しかも値上げラッシュに足りない賃金で国民が苦しんでいるさなかに。先の自民党大会で「国民の怒り、悲しみ、喜び、苦しみを一番知っているのが自民党だという誇りを持って」と訴えた石破首相ですが、世間とかけ離れた金銭感覚を率先して▼闇や裏の金で動く政治への怒りは募りますが、首相は法的には問題ないと開き直るばかり。こうなったら、中身が透けて見え、入っているものが人びとのくらしに回るような「ふしぎなポケット」がほしい。