2024年12月28日(土)
主張
25年度の軍事費
国民ないがしろの大軍拡予算
実に、文教・科学振興費の1・5倍に上ります。石破茂・自公政権が27日に決めた2025年度予算案の軍事費です。過去最大の8兆7005億円(米軍再編関係経費など含む)となりました。
■文科費の1.5倍
4年前の21年度、文教・科学振興費は5兆3925億円と、軍事費の5兆3422億円をわずかに上回っていました。ところが、軍事費は23年度以降、「安保3文書」で決めた大軍拡計画により激増。一方、文教・科学振興費は頭打ちで、25年度でも5兆5496億円です。短期間のうちに軍事費はこれを3兆円以上も上回るに至りました。あまりにも異常な突出です。
中身も異常で危険です。
安保3文書に基づき、他国領土内にある軍事拠点をミサイルなどでたたく、違憲の敵基地攻撃能力の保有を加速し、その運用態勢を強化しようとしています。
▽米国から購入する長距離巡航ミサイル(トマホーク)を25年度末に配備▽国産長距離ミサイル(12式地対艦誘導弾能力向上型)の地上発射型を25年度末に配備するとともに、艦船発射型の量産に着手▽潜水艦から発射する新たな国産長距離ミサイルの量産にも着手▽音速の5倍以上で飛行する極超音速ミサイルの製造態勢を拡充―などです。
さらに、一定の軌道上に投入した多数の小型人工衛星を連携させて攻撃目標の探知などを行う「衛星コンステレーション(群)」を構築するため、25年度から段階的に衛星の打ち上げを始めます。
これら敵基地攻撃能力保有のための経費は、9390億円にもなります。
政府は3月、日本がイギリス、イタリアと共同開発する次期戦闘機を英・伊以外の第三国にも輸出可能とすることを決めました。25年度の軍事費には、次期戦闘機の開発・生産、輸出を推進する3カ国共同機関(GIGO)への拠出金に1087億円を盛り込んでいます。憲法の平和主義を踏みにじる「死の商人国家」への堕落の道です。
■協定に反し米優遇
加えて重大なのは、日米地位協定上、米軍が負担することになっているのに日本が肩代わりしている経費が、4531億円にも達することです。中小企業対策費1695億円の2・6倍に上ります。
内訳は、▽米軍再編関係経費2146億円▽「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)2274億円▽沖縄県内の米軍基地移転費などSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費111億円―です。
米軍再編関係経費では、米空母艦載機の離着陸訓練のため、鹿児島県・馬毛島での基地整備費に531億円を盛り込んでいます。
普天間基地に代わる辺野古新基地建設費には735億円を計上。一方で、普天間基地の補修費も盛り込んでいます。新基地建設は計画よりも大幅に遅れ破綻しており、普天間基地の固定化につながります。
自公が少数与党となっている下、米国言いなりで、平和を脅かし国民の暮らしを押しつぶす大軍拡にストップをかけなければなりません。憲法9条を生かした外交で東アジアに平和をつくる政治への転換が切実に求められています。