2023年9月7日(木)
インド太平洋構想 主流化
ASEAN首脳会議が重視
平和構築・経済成長へ宣言
【ジャカルタ=面川誠】東南アジア諸国連合(ASEAN)は5日、インドネシアの首都ジャカルタで開いた首脳会議で、今後の平和構築と経済成長を目指す指針となる「ASEAN第4協和宣言」を採択しました。このために「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」の実践を地域で「主流化」するとしています。
宣言は「ASEANは平和、安定、安全を維持する第一義的な責任を持つ」とした上で、ASEAN共同体を「インド太平洋地域と、さらに広い地域の成長の中心地」に設定。インド太平洋地域における対話と協力を促進することによって、開かれた包摂的でルールに基づく地域秩序の構築を目指します。
このための行動計画として、AOIPの実践を重視し、ASEANが「引き続き経済と安全保障の地域秩序づくりを主導する」ことを確認。米中対立の激化など大国間の対立を念頭に、「地政学的変化が東南アジアおよびインド太平洋地域の人々の平和、安全、安定、繁栄を妨げるのではなく、それらを促進することを確保するASEANの決意を強調する」と明記しました。
宣言は国際法の順守とASEANの中心性の強化を特に強調。日米中印などを含む東アジア首脳会議(EAS)を代表的な協力の枠組みとして挙げました。国連海洋法条約、ASEAN憲章、武力による威嚇や武力行使を無条件で放棄した東南アジア友好協力条約(TAC)の原則と規範を順守する重要性も指摘しました。
AOIPは長期的な目標として、武力による威嚇や武力行使を無条件で禁止する友好条約をインド太平洋規模で締結することを目指しています。それに向けて当面は「対話と協力の文化」を育むために、対立が先鋭化しがちな政治・軍事分野ではなく、海洋協力、気候変動対策、災害対策、経済協力などを具体的な優先分野に定めています。
ASEAN各国と日米中印韓など対話パートナー国の政府、経済団体、研究機関の代表は5、6の両日、ジャカルタでASEANインド太平洋フォーラムを開催。優先分野の150以上の具体的な協力計画に合意しました。