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2020年5月4日(月)

きょうの潮流

 “みんなちがって、みんないい”。薄幸の詩人・金子みすゞの代表作「私と小鳥と鈴と」は、それぞれの個性や価値を認めあうことを呼びかけます▼亡くなった憲法学者の森英樹さんがよくこの詩を紹介していました。憲法13条が保障する「個人の尊重」の精神を見事に伝えているとたたえて。世の話題から縦横に憲法に入り込んでいった森さん、きっと憲法が日常にあることを人びとに伝えたかったのでしょう▼いま、コロナ禍の生活のなかで憲法が目の前の現実となって表れています。国民の生命、自由および幸福追求の権利をはじめ、生存権や財産権の保障、移動や仕事の自由や教育を受ける権利―。さまざまな条項が重なりあって▼しかし、それが侵されている状況で政治は責任を果たしているでしょうか。政府のイベント自粛や一律休校要請から2カ月余、緊急事態宣言から1カ月が過ぎますが、補償どころかマスク2枚さえ届かない。公が私権を制限しながら、命とくらしを守らない状態が続きます▼そのうえ安倍首相は、緊急事態に乗じて改憲や9条への自衛隊明記を必ず成し遂げる決意を口にしています。NHKの世論調査でも8割近い国民が、憲法以外の問題に優先してとりくむべきだと答えているのに▼安倍改憲の発議を許すなとインターネットでつながった今年の憲法集会。ジャーナリストの堀潤さんは「民主主義の対義語は沈黙」だと。みんながそれぞれの声をあげ、みんなで支えあう。憲法を生かした社会をつくるために。