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【写真】楠本忠洋さんTPP 町の努力、水の泡にする

鹿児島県錦江町長 楠元忠洋さん

 TPP(環太平洋連携協定)参加は、温暖な気候を生かした鹿児島県錦江町の畜産、米、お茶、バレイショなどに大きな打撃を与えます。私も議会も断固反対です。

 アメリカ側は、野田首相が「すべての物品、サービスを自由化交渉のテーブルに乗せる」と述べたと発表しましたが、野田首相はこれを否定しています。しかし、日本がアメリカに「この品目は除外して」とは言えないでしょう。「完全自由化を前提に参加を決めたのではないのか」と言われるに決まっています。交渉に参加してから、野田首相が言うように「国益を損なう」時には離脱できるとはとても思えません。

 アメリカ一極主義が終わり、世界ではアメリカ離れが広がっています。このなかでアメリカが日本を道づれにアジアへの貿易などで活路を開こう、食料、医療などをアメリカ基準で日本などに売り込もうという作戦がTPPではないでしょうか。

 賛成派は、農業補償をすると言います。補償はコメだけでも2兆円、農業全体で4兆円と言われています。東日本大震災という国難のときに、財政的余裕はありません。

 日本共産党はTPP問題でも政策や論理が国民の立場で筋が通っています。

 錦江町は大隅半島の南部、錦江湾に面した風光明媚な人口9000人、粗生産99億円の農業のまちです。

 町は、安心安全の農産物を生産し、若者が安心して農業で自立するまちづくりが政策の柱です。子育て支援のため保育園は第2子半額、第3子以降は無料です。過疎化で19人になった小学校の存続を願い、近くに町営住宅も建設しました。この努力を水の泡にし、地方を無慈悲に切り捨て、日本をアメリカに売り渡すのが、TPPです。

 幼い頃、小学校から帰ると家では鎌が研いであり、一家総出で稲刈りをしました。どこの家にも牛が飼われていてすきを引かせて田んぼを耕しました。私の原点です。豊かな自然に恵まれたこの町の美しい田園風景をいつまでも大切に守りたい。

 日本はいつまでもアメリカの属国でいいのでしょうか。TPP阻止のたたかいは、アメリカからの自立、対等な日米関係への転換の道です。(聞き手 鹿児島・村山智)

(2011年11月28日)

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