TPP 米国の呪縛から解放しよう
鹿児島県伊仙町長 大久保明さん
野田政権は「第三の開国」と言います。しかし、日本は牛肉・オレンジの自由化をはじめ、アメリカの圧力に負けてこれまで次々に自由化を認め、日本農業を犠牲にしてきました。
今でさえ農産物の関税率は11・7%と主要国で2番目に低く、「鎖国」どころかすでに十分に「開国」されています。米、サトウキビなど最後のとりでしか残されていません。TPP(環太平洋連携協定)参加は21世紀が食糧難の時代であり「食料自給率を50%にする」という民主党政権の方針にも逆行します。断固阻止しなければなりません。
島の経済崩壊へ
徳之島では耕作面積の63%でサトウキビを耕作し、農業生産額の42%、約50億円を占めます。サトウキビは製糖工場、輸送、収穫機の要員など地域経済や雇用に大きく貢献し、経済波及効果は生産額の約4倍です。自由化されるとサトウキビ農家は壊滅的な打撃を受け、関連産業全体で約200億円の損失となり、徳之島の地域経済は崩壊します。
私は医者でしたが、アメリカは医療分野の市場開放も求めています。TPP参加によって、アメリカのように混合診療の全面解禁で保険の利かない医療がはびこり、日本の公的医療制度や国民皆保険制度も崩壊させます。お金がない人は受けられる医療が制限され、命を脅かされます。株式会社が病院経営に参入し、もうけ本位の医療で離島やへき地から病院がさらに撤退し、「医療崩壊」が深刻化するでしょう。
歴史的たたかい
昨年の米軍普天間基地「移設」反対闘争の際には2月の日本共産党演説会に赤嶺政賢衆院議員が来島されて、米軍基地によって沖縄の受けた衝撃的被害の実態とたたかいの歴史をはじめて知りました。あれが島ぐるみの史上空前の闘争に火をつけるきっかけでした。感謝しています。
米軍基地「移設」反対もTPP参加阻止のたたかいも、これからどんな日本をつくっていくのかが私たちに問われています。TPP反対は、アメリカの呪縛から日本を解き放つたたかいです。
徳之島では参加断固阻止全島総決起大会を11月13日に開きます。再び島ぐるみの歴史的たたかいにしたい。(聞き手 鹿児島県・村山智)
(2011年11月8日)