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【写真】大友良英さん福島存続 文化を原動力に

ギタリスト・ターンテーブル奏者・作曲家
大友良英さん

 10月15日に世界中でやっていた反貧困デモはすごい人数でしたね。日本の原発デモとも結びついていかないのかなと思ってね。

 僕がやっている「大友良英のJAMJAMラジオ」(KBS京都)は、震災の起きた3月11日が放送日で、前に収録したものを流さざるを得なかった。翌週からは、救援活動をしている人たちに頑張ってと呼びかけたり、泣いてしまったり、パニくってました。

「自分も当事者」

 4月に、インターネットの呼びかけで東京・高円寺の原発デモに1万人も集まった。そのデモはほとんど報道されなかった。「誰かがやってくれるんじゃない。自分も当事者だ」と自覚したのが4月11日です。

 その翌日、震災後初めて福島に行きました。ロックミュージシャンの遠藤ミチロウさんに「福島で野外フェスティバルをやろう」と言われて、坂本龍一さんに相談すると、「直感だけど間違ってないと思う」と。テーマは「福島が存続するかどうかだ」と言ったのが福島の詩人の和合亮一さんです。福島のことで国はちっとも動けていないし。でも、そんな中でどう生きていくのかという問いかけを個々人が考える。その枠組みとして「プロジェクトFUKUSHIMA」を立ちあげました。

 8月15日に福島市で開いた無料のフェスティバルに1万3千人が参加しました。僕ら音楽家は、人と情報をつなぐ役目を果たしていると思うんです。七尾旅人さんが被災地の子どもに思いをはせて歌ったのが「圏内の歌」。でも、感動しただけでは問題は解決しません。それを動かすための歯車がメディアだと思います。除染でもやってみるかと思う、その原動力が文化の力です。

おとなの役目と

 食品の放射線量が測れる廉価な機械を早く作ってほしい。国の暫定基準値の500ベクレル(セシウム。乳製品を除く食料)はもっと低くしてほしい。立ち行かなくなる農家には東京電力や政府が補償すべきです。

 原発事故の直後は、すぐにでも世の中は変わるって思ったんです。僕、原発はスイッチを切ればそれで済んで終わるものだと思っていました。勉強したくて、放射線衛生学の木村真三先生とチェルノブイリに10月4日から一週間行ってきました。放射線量が高かったナロージチでは、心臓の悪い人が多くいました。

 こんな事故を二度と起こさないような社会をつくらないといけない。これから育つ世代に同じ思いをさせないようにするのが、僕らおとなの役目だと思います。(聞き手 萩原真里/写真 山形将史)

 テレビドラマ「その街のこども」「向田邦子ドラマ~胡桃の部屋」の音楽を担当。KBS京都の「大友良英のJAMJAMラジオ」(金曜深夜0・30)は、ラジオ福島(火曜午後9・0)やインターネットを通じradiko(同)でも聴けます。

(2011年11月3日)

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