商人はみんな増税に反対
パサデナ社長・仙台商業政策協議会(商政協)会長 黒澤武彦さん
売り上げが少なく景気が良くないのに、なぜ野田内閣は増税するのですか。「消費税率は上げたらいけない」というのが、商人みんなの意思。保守や革新に関係なく、増税反対は暗黙の了解です。
小さな店はほとんど、消費税分を価格に転嫁できません。しかし、売上高が1000万円を超えれば、税金を納めなければいけません。値段は安くできても、税金はごまかせない。身銭を切ることになるでしょう。
2003年、商政協として「消費税率引き上げをやめさせるネットワーク宮城」に加わりました。商人の立場で「消費税の増税はいけない」と訴えてきました。
増税反対運動をしている団体は、県をこえ党派に関わらず、横の連携をさらに広げていく必要があると思います。
10%になれば
私は嘉永年間(1848~54年)から続く山形県の商家に生まれ、仙台でアパレルの流通、小売業などに半世紀携わってきました。
製造工場の海外移転などグローバル化や小売業への大型店進出など、流通機構が大きく変わりました。老舗や地域の小売店がなくなっていくのを、この目で見てきました。
商人は増税に対し敏感に反応するんです。大型間接税や売上税を政府が導入しようとした時には、地元の国会議員に迫ったものです。
09年の総選挙では、消費税は4年間上げないという民主党に入れたのに、結局自民党と同じになってしまった。政治不信というより、不満が鬱積し、商人はみんな腹が立ってしょうがない。
1997年に橋本龍太郎首相が税率を5%にした時は何とかしのぎましたが、10%になれば小売店がみんななくなってしまいますよ。
共産党の「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」を読みました。素晴らしい発想と論点があると思います。消費税以外に別の財源があることに、政府は耳を傾けるべきではないでしょうか。
具体化の力を
どこに無駄遣いがあって、どうすればいくら節約できるか―。無駄遣いをなくせと誰もが言っています。共産党は、「提言」を具体化する戦略と力を持ってほしい。
消費税を増税しなくても社会保障や復興の財源があることを一般市民に知らせなくてはいけない。増税させないため、学習会や署名集めだけでなく、全ての国会議員に粘り強く働きかけていきたい。
聞き手・写真 唐沢俊治(2012年2月27日付)