消費税、転嫁できない
長野県クリーニング生活衛生同業組合理事長
加藤文人さん
私たちクリーニング組合が消費税の増税に反対する署名をしたのは、今のまま消費税を上げれば、景気がいっそう悪くなり、地域にお金が回らなくなるからです。
業者の声代弁
10日の志位委員長の予算委員会の質問を見ました。午前中に仕事を終わらせ、録画もしました。「中小企業は価格に転嫁できない」。その通りです。私たちが声を大にして訴えたいことを代弁してくれた。中小業者の声を紹介するたびに拍手も送りましたよ。
私たち零細企業は、大企業とちがって、消費税を価格に転嫁しにくいのです。ぎりぎりの経営で、身銭を切らざるをえません。
組合員は、ここ10年間で300人から170人に半減しました。安売り競争とクリーニング利用者の減少によって、収入が大きく減ったからです。
とくに最近、廃業者が増えています。先日も、組合事務所に行ったら、廃業届が出されていました。
組合員の9割以上が家族経営で、年商1000万円以下が圧倒的です。親の後を継ぎたくても、継げない状態です。
私たちには技術があります。クリーニングに出せば、大事な衣料が生き返ります。これも大事なエコだと思います。国民の生活衛生水準の向上に一役買っているのです。
私は、10年前に理事長に就任してから、組合員には安易な安売り競争ではなく、同業者間の連携を求めてきました。
明確に示して
民主党が政権についた時、期待をしました。マニフェストに、いいお題目が並んでいましたから。ところが、ふたを開けたら、がっかりすることばかり。子ども手当はどこにいきましたか。八ツ場ダムも結局つくることになったでしょ。揚げ句の果てに、消費税をあげるなんて、とんでもない。
私は、将来の年金や生活の不安が解消するのであれば、消費税の引き上げに反対ではありません。でも、野田首相は、国民に納得のゆく説明をしていません。
民主党政権になって首相が3人も交代するのは、国民が安心して任せられる政治じゃない証しだと思います。
私は、日本共産党に期待しています。私が見る限り、庶民の味方ですから。
今は苦しくても、「私たちが政権をとったら、こういうことをお約束します」と、庶民に分かることばで明確に示してほしい。自民党ダメ、民主党もダメ、次に何がくるか、国民は真剣に見ています。
将来に希望がもてないと、「がんばろう」ってならないですよ。どうか国民の不安を解消し、明日への希望を持てるような政策を提示してください。
聞き手・写真 長野県・渡辺雅浩( 2012年2月15日付)