増税、京都経済に打撃
京都府板金工業組合理事長 田原茂さん
野田政権が、消費税率10%への増税を提案していますが、絶対反対です。
これだけ景気が低迷している時になぜ、増税なのでしょうか。しかも、年金減額、支給年齢の先延ばしなど社会保障の後退と合わせた今回のやり方は許せません。
板金業界では、仕事がないことを理由に廃業する事業所が全国で、毎年100軒ほどにのぼります。われわれ京都の組合は、多い時から半減の約210事業所に減りました。これまで、ローンを組んで家の新築を考えた30、40代の収入が落ち込み、家を建てることが減っていますからね。
自腹切れない
今の5%の負担でも大きく感じます。たまにお客さんから、消費税分をまけてほしいと言われて応じます。材料の仕入れには消費税がかかるわけですから、自腹を切ることになるんですが、税率10%ともなれば、そうはいかないと思います。100万円の工事代だと10万円になりますから商売になりません。
消費税は、食料品から日用品のすべてにかかり、増税で生活そのものが成り立ちませんわ。ぜいたく品に限定するとか、売り上げのある大手優良企業に税金をたくさん納めてもろたらよろしいのと違いますか。
生活良くして
京都は、ものづくり、中小零細業者が支える町です。組合加盟の事業所でも従業員20人以下が9割を占め、ほとんどが5人以下の零細企業です。京都経済の特徴を表していると思います。
私たちは、住宅建築や改修を応援する住宅助成制度の創設を市に要望し、それにより京都経済が活性化する施策の充実を願っています。しかし、そこへ消費税増税となれば、活性化の影響も出ることなく景気は悪化するでしょう。
この時期の消費税増税は理屈に合いません。政治には、まず景気の回復と、庶民の生活を良くする施策を望みます。
聞き手・写真 京都府・稲次かなめ(2012年1月31日付)