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日本共産党

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第14回大阪府市統合本部会議に出席した(左から)橋下徹市長と大阪商工会議所の樋口武男副会頭、関西経済連合会の櫻内亮久理事、関西経済同友会の齊藤行巨常任幹事・事務局長=6月19日、大阪府咲洲庁舎

財界いいなり型は不変

 「いま維新がやるべきことは『維新八策』のブラッシュアップ(磨きをかける)。それができないうちは国政進出は言っちゃいけない」(1日)
 橋下徹大阪市長は、国政進出についてこう発言していました。松井一郎大阪府知事(「維新の会」幹事長)が国政進出のための「政党化」(注)に言及したことについて、「聞いていない」として答えたものです。

 ところがその後、国会議員の“合流”とか、安倍晋三元首相への“協力要請”など、「維新の会人気」をあてこんだ動きが相次いで報じられ、肝心の「維新八策」はかすんだ感があります。

「決定」に力点

 では、「八策」にはなにが書いてあるのか。石川康宏・神戸女学院大教授は「八策には政策相互の体系性の説明がない。ただの項目集。いつでも変わり得る」ことを前提に、つぎのように指摘します。

 「政策の基本は自民、民主と変わらない。原発の問題で見事に寝返ったように財界にはすり寄るし、アメリカとの関係でも『日米同盟基軸』だ。消費税増税で、野田内閣を礼賛したように、国民の願いに左右されず、ただ決定することが大事だというところに力点を置いている」

 「八策」の看板である「目指す国家像」では、「自立する個人」といって、国や自治体に頼らずに自己責任でと強調。社会保障費は「合理化・効率化」の名で削減、生活保護は「有期制」、雇用も「解雇規制の緩和」など、過激な新自由主義路線を加速させています。「自立する地域」でも自治体に競争原理を持ち込み、破綻した自治体を整理し、財界のめざす「道州制」にもっていこうとしています。「要するに財界が主導してきた国づくり論」(石川氏)です。

 「消費税の地方税化」と引き換えに地方交付税の廃止を主張。差し引きでも、地方財政に約13兆円の穴があくことになり、消費税大増税(13兆円)と変わらない負担増になります。

すり寄る各党

 問題は、こうした「維新八策」を正面から批判しているのが日本共産党だけという政治状況です。

 他の中央政党は、「維新の会」人気にすり寄りを強めています。国会では、橋下氏が要求してきた「大阪都構想」を実現するための大都市構想法案が、日本共産党、社民党をのぞく各党の賛成で衆院を通過しました。

 石川氏はいいます。「政策内容に民主、自民と違いがあるわけではないから、国政に影響力をもてば中央財界は『維新』との接点を広げる。しかし、異論を抑圧しながら自分の主張を通そうとする点で『維新』は民主、自民より危険だ。彼らの国政進出はこの国の民主主義や国民の基本的人権を、さらに危ういものとしかねない」(つづく)

注・政党要件
 政治資金規正法などは、「所属する国会議員が5人以上」か、「直近の国政選挙で全国を通じた得票率が2%以上」を「政党」と扱うと定めています。

(2012年08月18日付)

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