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赤バスなくさんといて

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赤バスを待つ港区連絡会の石井さん(左)たち


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大阪市の赤バス

 「大阪市の『赤バス』がなくなり、市営地下鉄・バスが無料の敬老パスまで有料化されたら年寄りの生活は真っ暗ですよ」。生野区に住む高齢の女性(74)が顔を曇らせます。

 橋下徹大阪市長の「市政改革プラン(素案)」の中でも冷酷なのが、市民の足を奪う「改革」です。

家と病院結ぶ

 小型の赤バスは料金100円で、大型バスが走らない住宅街から病院、役場などを結ぶ身近な路線を走っています。手押し車のお年寄りや乳児を抱いた母親、足の不自由な人らがいたわりあう姿が車内に見られます。

 「赤バスなくさんといて」と市に訴えてきた港区の石井ひさ子さん(86)はいいます。

 「幹線道路のバス停や商店街まで私の足だと家から30分はかかります。通院や買い物に毎日利用する赤バスがなくなると自由に外出もできなくなります」

 素案では、赤バスなどコミュニティー系バスへの市の運営費補助を来年度から10億7300万円も削り、4億4000万円で事業を再構築するとしています。

 「大阪市をよくする会」の成瀬明彦事務局次長(66)は憤ります。「3分の1への減額ですよ。赤バス29路線を10路線以下に絞るのか、民間に丸投げするのか、いずれにせよ大阪市が誇る福祉バスが壊滅的な打撃を受けることは明らかです」

 赤バス廃止は09年から浮上していました。同年12月、「よくする会」や全日本年金者組合大阪府本部などが「赤バスの存続を求める市民連絡会」を結成。石井さんも「港区連絡会」の代表を務め、運動の先頭に立ってきました。

 利用率や採算で論じようとする市側に対し、市民の切実な「ひとこと」を集めて届け、何度も廃止案を押し返してきました。「利用促進のためにも、もっと便利にと経路変更などを提案してきました。ここで『リセット』なんて許せません」と石井さん。

 素案には「敬老パス」についても半額負担などの改悪5案(最大50億円削減)がずらり。月数万円の年金で暮らすお年寄りから「病院にもいけなくなる」と悲鳴があがり、「敬老パス『維持』の橋下さんの公約はどうなったのか」と怒りが広がっています。

健康になる!?

 各区の連絡会も赤バス・敬老パス存続署名を広げ、「維新」の市議から「維新の会が案を出したととらえられている」との泣き言も。一方、橋下氏は「地下鉄に乗らずに歩くことで健康になる人はいっぱいいる」と言い放ちました(5月23日の答弁)。

 成瀬さんはいいます。「橋下さんは、交通権の保障が生きがいや健康だけでなく、介護費用などの支出減少にもつながることがわからないのでしょうか。赤バスの運営費も、市営地下鉄の黒字の一部を投入すれば十分補えます。地下鉄を民営化して赤バスをつぶすなんて、論外です」

(つづく)

(「赤旗」2012年6月10日付)

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