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懲戒免職で批判封じ

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市職員の政治活動制限条例案の撤回を求めビラを配る日本共産党参院大阪選挙区のたつみコータロー候補=9日、大阪市

 「大阪市の方針について、市民に反対を促すような行動は厳しく処分したい」「信用失墜行為は懲戒処分の対象」―。橋下徹市長は11日の市議会本会議で息巻きました。

 市の方針とは、ごみ収集の民営化と担当職員の非公務員化。これに対し、収集に従事する職員の労働組合が配布したビラに、橋下市長は激怒したのです。

 ビラは、高齢者宅などにごみ収集に訪れ、安否確認をしているといった業務を紹介。民営化の検討に触れたうえで、「市民の皆さんと築いてきましたセーフティーネットが危ぶまれています」と訴えました。

 橋下市長は何の根拠も示さず、「トップの私が、危ぶまれることをやるわけがない」と憤り、職員攻撃を展開しました。

教育長の通達

 「教員の政治活動の禁止等について」(9日)と題する通達が、教育長名で市立幼稚園長に送られる事態も生まれています。

 通達は「幼稚園の民営化に、反対する署名を保護者・地域に煽動(せんどう)するような教員の行為があった旨の通報がありました」「公の機関において進める政策の実施を妨害する...そのような行為は、幼稚園教育に対する市民の信頼を損なう」と糾弾しています。

 教育委員会は「市長からの指摘(4日)を受けて至急調べたが、事実はなかった。しかし、市長の指摘であったので通達を出した」と話しています。

凍りつく職場

 市の職員による市政批判は絶対に許さない―この姿勢は、昨年11月の市長当選直後から一貫しています。

 橋下氏の当選についてテレビ取材に応じ、「民意という単語が僕の(認識)とは違う」と答えた市の職員を捜し出し、反省文を提出させました。

 「恐怖支配への先制パンチに職場は凍りついた」と、ある職員は当時を振り返ります。

 橋下独裁・公務員攻撃はエスカレートし、7月臨時市議会に「職員の政治的行為の制限に関する条例案」を提出しました。

 ▽政党機関紙の配布▽デモや集会の企画▽政治的目的を有する文書などの発行、配布、演劇の演出...。このような行為をした市職員(市バス運転手など現業職は除く)は「原則、懲戒免職」という条例案です。

人間性の否定

 専修大学法科大学院の晴山一穂教授(行政法)は、「フランスでは政治活動は公務員の憲法上の権利で、公務員のまま選挙に立候補し、議員との兼職もできる。大阪市の条例案は、公務員の市民性や人間性を否定し、機械や道具と同一視する考えにもとづいている」と批判します。

 懲戒免職で脅して、批判を封じ込め、公務員を「全体の奉仕者」から「橋下市長の下僕」にする―ことこそ、条例案のねらいです。

(つづく)

(「赤旗」2012年7月18日付)

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