2024年12月19日(木)
きょうの潮流
「三度目の正直」という言葉があります。維新の会代表の吉村洋文大阪府知事が、かつて2度にわたり住民投票で否決された「大阪都構想」=大阪市つぶしに再チャレンジする意向を明らかにしました▼政治家が選挙で一度落選しても二度、三度と再挑戦することはよくあることです。当落は別にして、立候補者が増え、選択肢が広がるのは有権者として歓迎できます。しかし、都構想の場合、住民投票だけでも約10億円もの税金を使います▼ふつう、2度も否決されれば「二度あることは三度ある」と尻込みするはず。それでも都構想に執着せざるを得ないのは、総選挙での比例得票の大幅減で新たな旗印が必要になったのでしょう。大阪のためにではなく、維新の自己保身でしかありません▼吉村氏は「民主的なプロセスを経ることなく、法定協議会を立ち上げたり、行政機構のなかで議論したりするつもりはない」と。いかにも民主主義を尊重しているかのように聞こえるかもしれませんが、過去2回の「民主的なプロセス」(住民投票)のことなど、はなから無視するつもりのようです▼維新のブレーンである上山信一大阪府市特別顧問は4年前の11月、2度目の住民投票での都構想の否決を受け、自身のSNSで「制度を巡る住民投票は無理だと思いました」。3度目はないの思いをにじませました▼「仏の顔も三度」と言いますが、いくら義理人情に厚い大阪市民といっても、さすがに「しつこいわい! ええかげんにせい」と怒るのでは。