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2024年12月17日(火)

きょうの潮流

 いまから22年前のきょう、東南アジアである出来事がありました。マレーシアとインドネシアが、領土紛争を国際司法裁判所(ICJ)の判決で平和的に解決したのです。ボルネオ島の近海にあるリギタン島とシパダン島をめぐって▼国境画定作業で両国の主張がぶつかったのは1969年。およそ30年後にICJで裁判することで合意し、提訴しました。裁判は両国間に信頼関係ができていることが前提で、負けた側も判決には従うというのが規則です。そして2002年12月17日、二つの島はマレーシア領と画定しました▼マレーシアとインドネシアは61年に武力紛争を起こし、双方に約1100人の死傷者が出ていました。その後、67年に東南アジア諸国連合(ASEAN)が結成され、両国は原加盟国となりました▼76年には東南アジア友好協力条約(TAC)を締結。紛争の平和的解決も約束通り実行しました。ASEANでは“対話の習慣”が定着し、最近では年間1500回の会議を開いています▼ベトナム戦争だけでなく、ASEAN結成以前にも「分断と敵対」の時代はあったのです。裁判に負けたインドネシアの国際政治学者は「ASEANのおかげで両国は敵対関係を克服し、信頼関係を高めた」と語っています▼マレーシアとシンガポールも、戦略的に重要なマレー半島の小島の帰属を、ICJの判決でシンガポール領と決定し、論争に終止符を打っています。紛争は平和的に解決する―そんな世界が当たり前となるように。


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