2024年11月12日(火)
きょうの潮流
国会での首相指名を首班指名や首班選挙と呼ぶのは明治憲法の名残です。当時は内閣総理大臣も天皇の行政を補佐する国務大臣のひとりで「各大臣ノ首班」と定められていました▼明治憲法下では総理大臣も他の国務大臣と同格で、「首班」とは「同輩中の首席」を意味しているにすぎなかった―。首相官邸のホームページにもそう書かれています。戦後、日本国憲法で首相には「内閣の首長」たる最高責任者の地位が与えられ権限も強化されました▼注目の首相指名選挙。衆院の決選投票は過去4度あり、自民党同士がぶつかったことも。30年ぶりとなった今回は立民の野田代表と自民の石破総裁が争い石破氏が再任。共産党は野田氏に投票し、無効票は84票を数えました▼与党を過半数割れに追い込んだ総選挙では、自公政権に国民の厳しい審判が下りました。裏金問題をはじめ物価高騰への無策、くらしの不安そっちのけの税金の使い方、そして大軍拡。自民党政治の全体にわたる不信や怒りの表れでした▼果たして、その民意が決選投票に示されたのか。当日に不倫が明らかになった党首の名前を書いた党、すでに代表を退くことが決まっている人物に入れた党…。その結果、少数与党の石破政権は延命することに▼国民主権の今の憲法下にあって政治はなんのため、だれのためにあるのか。これから一つ一つの局面で各党の態度が問われてきます。行き詰まった自民党政治にしがみつくのか、それとも新しい政治を国民とともにつくるのか。