2024年3月1日(金)
不記載は“誤解・ミス”
岸田首相の政倫審弁明 疑惑答えず
自民党派閥を巡る裏金事件について、岸田文雄首相は29日の衆院政治倫理審査会で、「なぜ、政治資金の収支は明確にするとの当然のルールすら守れなかったのか」と切り出しました。しかし、その弁明は「説明責任を果たす」どころか、自身の疑惑にすら答えないものでした。
「当時の会計責任者の会計知識の誤解や、帳簿作成上の転記ミス等、事務処理上の疎漏によるもの」
自身が会長だった岸田派(宏池政策研究会)は5年間で3059万円を政治資金収支報告書に記載していませんでした。これを“誤解”や“ミス”で片付けた岸田首相。しかも「私自身、予算委員会の場でご説明申し上げてきた」と、終わったことかのように弁明しました。安倍派や二階派についても新たな解明はまったくありませんでした。
また岸田首相は「改革を断行」するとして、自民党の規約の改定や政治資金規正法の改定に言及。「政治への信頼を回復するために、私自身が先頭に立って前例や慣習にとらわれることなく、改めるべきは改めていく」と述べました。
そういう岸田首相は自らの資金管理団体が、2022年だけで大規模な政治資金パーティーを6回も開き、計1億3100万円もの利益を上げています。閣議決定された「大臣規範」でも閣僚は大規模パーティーを自粛するよう申し合わせています。
政倫審で、岸田首相は自身のパーティーを「勉強会」と言い換えました。しかも「(大臣)規範にある『国民の疑念を招きかねない』ものにはあたらない」と開き直りました。
野党からの追及に「(首相)在任中は(パーティーを)やらない」としぶしぶ答弁した岸田首相。その姿勢からは、「自民党が抜本的な出直しをする」ことなど期待しようもありません。(矢野昌弘)