2024年2月29日(木)
能登半島1.1地震
罹災証明発行に遅れ
被災自治体 申請多く追いつかず
能登半島地震の発災からまもなく2カ月がたちます。大きな被害が生じた石川県内の自治体では、被災者生活再建支援金や義援金などの手続きに必要な罹災(りさい)証明書の発行が遅れています。住宅被害(全半壊・一部損壊)が1万5000棟を超える七尾市は申請数が多く、発行数が追いつかない状況です。(丹田智之)
七尾市中島町の海に面した集落で被災した元会社員のAさん(79)は、1月16日に罹災証明を申請しました。「いろんな手続きを早く進めたい」と発行を待っていました。ただ2月末になっても被害の程度を判定するための家屋調査が行われていません。
自宅は築130年を超える木造家屋です。地震で屋根が崩れ、建物全体が玄関側に傾きました。
Aさんは「全壊か大規模半壊になると思う。妻の実家で歴史もある家だから惜しいけれど、取り壊すしかないだろう」と話します。新しい家を建てるまでは仮設住宅で暮らす予定です。
集落内には建物の状態を「危険」「要注意」などの張り紙で知らせる応急危険度判定が行われていない家屋もあります。
Aさんは「ここは市役所から遠いし、市職員の数も限られているからね…」と仕方なさを感じています。とはいえ「罹災証明書がないと公費解体の手続きもできない」と落ちつかない様子です。
同市は1月4日から罹災証明の申請を受け付けています。20日までに1万4484件の申請がありました。一方、発行数は4181件(約29%)で、家屋調査も9902件にとどまっています。
市の担当者は、県外の自治体から応援も得て作業を進めている現状だとして「申請数が多いことで発行が遅れている」と説明します。