2024年2月29日(木)
米軍機 爆音被害の賠償金
日本側 704億円負担
米側負担分まで肩代わり
政府は27日、米軍機の爆音被害に対して住民が起こした訴訟で確定した賠償金として計約704億円を住民側に支払ったとする答弁書を閣議決定しました。日米地位協定は、米側が賠償金の75%を負担することを定めていますが、答弁書は「現時点で米政府から何らかの支払いがされたとの事実はない」としており、米側が負担すべき約528億円を日本側が肩代わりしていることになります。
立憲民主党の屋良朝博衆院議員の質問主意書に答えました。
米軍機による爆音被害をめぐっては全国各地で飛行差し止めと賠償を求める爆音訴訟がたたかわれており、賠償を命じる判決が相次いでいます。
政府は答弁書で、これまでに嘉手納(沖縄県)、普天間(同)、横田(東京都)、厚木(神奈川県)、岩国(山口県)の5基地に関する訴訟で計約704億円を支払ったと説明しました。
米軍関係者による事件・事故などの被害に対する民事請求権を定めた日米地位協定18条は、訓練など「公務中」の米軍が第三者に損害を与えた場合、賠償額の75%を米国が、25%を日本が負担すると規定しています。
他方、答弁書は、在日米軍基地内の毒性の強い化学物質・PCB(ポリ塩化ビフェニール)処理について米側が全量を米国内で処理する方針を示したにもかかわらず、実際には日本側が国内で処理し費用も負担していた件については、「日米地位協定4条1の規定に基づき、負担した」としています。
さまざまな特権を定めた日米地位協定すら守らない米側に対し負担を肩代わりする一方、支払う必要のない費用まで負担するという日本政府の対米屈従姿勢が浮き彫りになっています。