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2023年12月4日(月)

国立大学法人法改悪案に対する吉良議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の吉良よし子議員が1日の参院本会議で行った、国立大学法人法改悪案に対する質問(要旨)は次の通りです。


 国立大学協会が、法案への危惧と懸念を表明する会長声明を発しました。反対の声が広がっているのは法案が学問の自由・大学の自治を根底から脅かすものだからです。

 日本国憲法23条に「学問の自由」が明記されたのは、戦前の国家権力が学問の自由を侵害してきたことへの反省があったからです。学問の自由を保障するには「大学の自治」が不可欠です。

 法案は、政府が指定する大規模な国立大学法人に委員の大半が学外者となる運営方針会議の設置を義務づけます。このこと自体「大学の自治」に反するものになりませんか。

 運営方針会議の委員は、文科相の承認を得た上で学長が任命すると定めています。人選への政府の口出しを容認し、大学の人事に国家権力が介入する根拠を与えませんか。

 「運営方針会議」は、学長よりも上に置かれ、大学運営の意思決定から大学の構成員である教職員を徹底的に排除することになります。もうけや効率を最優先にする数人の学外の委員によって「稼げる大学」づくりを強力に進めることになりませんか。

 運営方針会議の設置は、大学ファンドの支援を受ける「国際卓越研究大学」の認定を受ける条件として持ち出されたものです。しかし法案で設置対象が大きく広げられました。国大協の永田恭介会長(筑波大学長)は「閣議決定で法案が出されるまで知らなかった」と述べました。こんな乱暴なやり方は許されません。

 特定国立大学法人を指定する政令、基準は、国会審議することなく改訂が可能です。運営方針会議の設置が際限なく広がり、全ての大学の自治が壊されるのではありませんか。

 国立大学の序列化が進み、運営費交付金配分の格差が拡大し「選択と集中」が進められる懸念もあります。法人化以降減らされた国立大学への運営費交付金を抜本拡充すべきです。

 政府が大学への基盤的経費を減らしながら、軍事研究への誘導を進めていることは問題です。運営方針会議を通じ政財界の意向を押しつける仕組みができれば、軍事研究もいとわない「稼げる大学」へと国立大学が大きく変質させられる危険があります。事業収入を増やすため授業料、学費が値上げされることもあり得ます。

 学問研究の発展は、時の権力者の意向に左右されることなく学問研究に携わるすべての人が自由に、自主的に運営に参加できる民主主義なくしては成り立ちえません。大学から自由と民主主義を奪う法案は徹底審議の上、廃案を求めます。


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