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2022年5月19日(木)

こども家庭庁設置・整備法案

田村智子議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の田村智子議員が18日の参院本会議で行ったこども家庭庁設置法案と同法整備法案への質問(要旨)は次の通りです。


 子どもの貧困、いじめ・不登校、校則見直しなど、子どもをめぐる現状を変えようという運動が多面的に取り組まれ、子どもに関わる法律がいくつもつくられてきました。しかし現状は抜本改善に向かわず、予算の倍増や専門的な人の配置を求める要求の広がりに押され、今回の法案提出に至った経緯を踏まえれば、こども家庭庁の設置でどう変わるのか問われなければなりません。

 子どもの自殺はこの数年、過去最多を更新する深刻な事態で、10代の死因のトップが自殺というのは主要7カ国(G7)で日本だけです。日本の子どもたちが高度なストレスとプレッシャーにさらされている認識がありますか。子どもたちに表れている深刻な状況は、特定の子どもの性格や性質が問題ではなく、社会環境に原因があることは明らかです。

 子どもが抱えるストレスの原因の最たるものが悉皆(しっかい)式の全国学力テストです。平均点が都道府県ごとに公表され、順位を上げようと少なくない道府県が教育振興基本計画に数値目標を掲げた結果、どのような影響をもたらしたか。10歳から14歳までの自殺率は2009年に底を打ちましたが、19年には1・9倍となりました。同時期に小学校の不登校認知件数は2・8倍、校内暴力は5・8倍、いじめは11・4倍にもなっています。競争主義的な教育政策が子どもたちに深刻な影響を与えていることを認めますか。

 子どものおかれた経済状況が悪化しています。子どもの貧困率は、いまだ10%を超え、ひとり親家庭の貧困率は5割超で、コロナ危機の下でその影響はさらに深刻です。

 子どもの貧困対策基本法からまもなく10年、いまだ、子育て家庭の貧困は深刻です。労働法制の規制緩和など、新自由主義の経済政策が子どもの貧困に直結しています。こども家庭庁の設置により学校教育における競争主義、労働法制の規制緩和など格差を拡大させた政策の調査や是正を求める勧告ができますか。

 子どもの権利条約は、「生命、生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見の尊重」「差別の禁止」という四つの一般原則を掲げ、法案では、こども家庭庁の任務に4原則を全て盛り込み、子ども政策を推進すると答弁しています。しかし、こども家庭庁の事務に関わらないところで、原則の取り扱いがどうなるか不明確です。4原則は教育行政を含め、全ての政府の施策に貫かれるべきです。生存及び発達に関する権利に「子どもが子ども時代を享受すること」が含まれると考えますか。

 子どもの意見にありのまま向き合うため、学校教職員や保育士の配置基準の見直し、長時間労働の是正などは不可欠です。「子どもの意見の尊重」のためにいかなる施策にとりくみ、こども家庭庁はどのような総合調整を行うのですか。


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