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2022年5月19日(木)

主張

GDPマイナス

「成長しない国」から脱却急げ

 1~3月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比1・0%減となりました。2期ぶりのマイナスです。新型コロナウイルスの感染拡大が影響しただけではありません。暮らしに冷たい政治のゆがみが根底にあります。岸田文雄政権は、物価高騰対策として補正予算案を閣議決定しましたが、まったく不十分です。新自由主義によって弱体化させられた経済を「やさしく強い経済」に立て直す大改革が急務です。

消費税減税・賃上げこそ

 GDPの5割以上を占める個人消費の落ち込みが大きく響きました。前期比年率で0・1%低下しました。オミクロン株の感染拡大によって1月後半から人出が大幅に減り、飲食、宿泊などのサービス消費が低調でした。

 同時に、日本がコロナ危機前から「成長しない国」になっていたことを直視する必要があります。今回発表された2021年度の実質GDPは実額537兆円でした。安倍晋三政権下の13年度から0・9%しか増えていません。主要国の中でも際立った停滞です。9年間にわたるアベノミクスが国民の負担を増やし、日本経済をもろいものにしたことは明らかです。

 労働法制の規制緩和は低賃金で不安定な非正規雇用を拡大し、多くの非正規労働者がコロナ危機で職を失いました。2度の消費税増税によって低所得者ほど重い負担を押し付けられました。日銀による「異次元の金融緩和」は株価をつり上げる一方、円安を加速させ、耐え難い物価高を起こしています。

 物価高は今後も消費の足を引っ張ることが確実です。緊急の対策とともに、アベノミクスで損なわれた経済の土台を立て直す改革に踏み出すことが欠かせません。

 個人消費の回復に最も効果がある対策は消費税率5%への減税です。民間シンクタンクからも、生活必需品の価格を抑制する消費税の税率引き下げが効果的な物価対策だと声が上がっています。

 「成長しない」現状を打開するためには賃金が上がるよう政治が役割を果たさなければなりません。最低賃金を全国一律に時給1500円に引き上げることは待ったなしの課題です。

 大企業はアベノミクスで法人税の減税をはじめさまざまな優遇を受けて内部留保を130兆円も増やしました。大企業は円安の恩恵で利益を増やしています。アベノミクスで膨らんだ大企業の内部留保に課税し、それを財源に中小企業の賃上げを思い切って支援することが決定的に重要です。

 医療費負担増や年金引き下げの中止、教育費の負担軽減も必要です。

補正予算案の出し直しを

 今回の補正予算案は一般会計の歳出総額が2兆7009億円ときわめて小規模です。しかも、支出項目をあらかじめ定めず、国会の議決なしに政府の判断で使用できる予備費が1兆5200億円です。「国民生活を守り抜くための万全の備え」(岸田首相)と言っても、施策を示さない予備費が半分以上では実質が伴いません。

 予算の使い道を事前に国会で審議することは民主主義の大原則です。岸田政権は、国民の暮らしと中小企業の営業を支える対策を明示した予算案を編成して出し直すべきです。


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