2022年5月19日(木)
海洋放出を規制委了承
福島原発汚染水 内外の反対の声無視
東京電力福島第1原発事故で発生する放射能汚染水を処理した後に残る高濃度のトリチウム(3重水素)を含む汚染水(アルプス処理水)を薄めて海に放出する計画をめぐり、原子力規制委員会の会合が18日に開かれ、東電の申請を認める審査書案を了承しました。漁業者や地元住民をはじめとする国内外の多くの反対や懸念の声を置き去りにしたまま、実施の準備は新たな段階に進みました。(解説)
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審査書案は6月17日まで一般からの意見募集を行い、その結果を踏まえて正式に決定される見通しです。
計画は、敷地内のタンクにためているアルプス処理水を、海水で基準値未満の濃度に薄めて、海底トンネルを通じて約1キロメートル沖合で放出するもの。政府と東電は来年4月ごろの放出開始をめざしています。すでに準備作業を進めており、正式に認められれば、トンネルや関連設備などの本格工事を進めます。
審査書案は、放出手順、設備の安全性、人や環境への放射線影響などを評価。東電の計画について、問題なしと結論づけました。
アルプス処理水の処分方法をめぐっては、海洋放出すれば風評被害など社会的な影響が大きいと懸念されており、市民団体などからはタンクでの保管継続やモルタル固化など代替案の検討を求める声があがっています。
政府と東電は2015年、海洋放出に反対する地元漁業者に対して「関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」と約束していました。しかし政府は昨年4月、これを覆して海洋放出方針を決定。東電が12月に具体的な計画を申請していました。