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2022年5月16日(月)

主張

最低賃金引き上げ

日本経済全体の底上げの力に

 新型コロナ感染拡大による物流の停滞やウクライナへのロシアの侵略による物価高騰が深刻です。「アベノミクス」のもとでの金融の量的緩和がもたらす異常円安が追い打ちをかけています。

 生活必需品などの出費は1年前と比べて平均で3%も上昇しました。光熱費や食料品などの値上げ幅が大きいため、低所得層では消費税の5%増税並みの負担増です。所得が低い人ほど打撃をうける物価高騰への対策には消費税減税とともに最低賃金の引き上げが重要となっています。

格差の是正にも不可欠

 2021年度の最賃は全国加重平均で時給930円です。年収でおよそ170万円となります。ワーキングプアの水準です。全国一律でないため、地域間の格差も大きくなっています。

 世界的な物価高騰の中、主要国では、最賃を大幅に引き上げています。イギリスは4月に9・5ポンドへ、フランスは5月に10・85ユーロへ、ドイツは10月に12ユーロへ、米ロサンゼルス市では16・04ドルへと引き上げる動きが相次いでいます(いずれも時給)。日本円に換算するとおよそ1500円弱から2000円となります。

 日本は、主要国の引き上げの動きから大きく離されています。

 全労連の生計費調査によると、大阪で25歳の1人暮らしには1カ月24万4951円が少なくとも必要で、時給に換算すると1633円になります。しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査では1人親世帯の2月の平均月収は13万円余にしかなりません。

 全国一律1500円の最賃の実現は急務です。

 最賃の大幅引き上げは、日本経済の底上げにとっても焦眉の課題です。内閣府は、年収200万円台の低所得層の増加の原因が非正規雇用の増加だと認める資料を3月3日の経済財政諮問会議に提出しています。同資料は、この25年間で35~44歳の働き盛りで、所得の中央値が92万円も減少していることを示しています。

 非正規雇用労働者の賃上げには、最賃のアップが大きな効果を発揮します。格差の是正への大きな一歩になります。

 また、最賃引き上げは、消費を増やし経済全体を活気づけます。

 日本・東京商工会議所の中小企業を対象とした4月の企業調査では、最賃を引き上げるべきとの回答が21年の28・1%から22年に41・7%に上昇し、「引き上げせずに、現状の金額を維持すべき」の36・6%を上回っています。

 岸田文雄首相は5日の英ロンドン・シティーでの講演で、「単位時間当たりの労働生産性の伸びは諸外国と比べて悪くないのに、賃金の伸びが低いことがわが国の大きな課題」と言いました。しかし、最賃には言及がありません。

内部留保課税で中小支援

 一方、大企業の内部留保はコロナ禍でも増え続けています。

 大企業の内部留保への適正な課税は、最賃引き上げ促進の力となります。

 「アベノミクス」10年間の大企業減税40兆円のうち、内部留保課税で10兆円を還元させ、社会保険料事業主負担の軽減に充てれば、中小企業・中堅企業でも賃上げがすすむ土台をつくることができます。最低賃金大幅引き上げへ力を合わせましょう。


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