2022年5月7日(土)
民間人の避難継続を
国連安保理 ウクライナ情勢協議
【ワシントン=遠藤誠二】国連安全保障理事会は5日、ウクライナ情勢で公開会合を開催しました。グテレス事務総長は、ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所からの民間人避難について「3回目が現在進行している」と報告。「彼らが地獄から抜け出すために、できる限りのことを続けなければいけない」と強調しました。
グテレス氏は、4月末のロシア、ウクライナ両国への自身の訪問を報告し、「ここニューヨークで繰り返し表明してきた通り、モスクワとキーウで、ロシアのウクライナ侵略は領土保全の侵害と国連憲章の違反だと述べた」と発言。「ウクライナ、ロシア、そして世界の人々のためにこれを終わらせなければならない」と呼びかけました。
マリウポリからの市民は「3日、最初に、製鉄所の101人が周辺の59人とともに避難し、その後、昨夜までに市内とその周辺部の320人が避難した」と述べました。
グテレス氏は、「両政府による協力の継続で、人道上の停戦につながり民間人の安全な避難と援助物資の輸送が実現することを望む」と語りました。
グリフィス事務次長(人道問題)兼緊急援助調整官は、ウクライナでこれまでに、1300万人が家を追われたと報告。ウクライナのキスリツァ国連大使は、約100万人の国民がロシアに連れて行かれたとして、「彼らの安全な帰還の保障を」と訴えました。
各国大使からは、ウクライナ侵略や市民を標的にしたロシア軍の攻撃は、「国際人道法、人権法の違反だ」(ケニア)との意見が噴出。マリウポリで実現した市民避難は、事務総長の両国訪問の結果だとし、「この取り組みは他の場所にも拡大して行われるべきだ」(インド)との発言が出ました。