2022年5月2日(月)
憲法9条の「信頼力」を生かした外交で、東アジアを平和な地域に
NHK党首討論 志位委員長が提唱
日本共産党の志位和夫委員長は1日放送のNHK憲法記念日特集の党首討論番組に出演し、ウクライナ危機をめぐる平和の問題や核兵器の脅威、改憲などについて各党党首と議論しました。(志位委員長の発言詳報)
ロシアによるウクライナ侵略によって国際社会の平和秩序が大きく揺らぐなか、憲法で「平和主義」を掲げる日本が世界とどう向き合うかが議論になりました。
志位氏は「よく一部から『9条で平和は守れるか』という声が聞こえてきますが、戦争を起こさないための憲法9条を生かした外交に知恵と力を尽くすのが政治の役割ではないか」と主張しました。
そのうえで、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、ASEAN10カ国プラス日米中など8カ国で構成される東アジアサミット(EAS)という平和の枠組みを発展させて、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約締結を展望しようという大構想を示しているとして、「日本が進むべき道は、ASEANの国ぐにとしっかり連携し、東アジアを戦争の心配のない平和の地域にするための9条を生かした平和外交です。まさに9条の出番の時を迎えています」と提起しました。
志位氏の提起に対し、岸田文雄首相は「アジアにおける安全保障や平和の枠組みを考えていくのは重要だ」と述べました。
核兵器の問題でも議論がかわされ、志位氏は、「核抑止」論にしがみつく岸田首相に対し、「核抑止とは、いざというときには核兵器を使うことが前提の議論です。つまり、広島・長崎のような非人道的惨禍を起こすことをためらわない議論です。被爆国の政府がそれにいつまでもとらわれていていいのか」と厳しく批判。「核抑止」は幻想だと指摘したジョージ・シュルツ元米国務長官の発言を紹介し、「いま世界が目にしているのは、核兵器は人間に持たせてはならない『絶対悪』の兵器だということです。『核抑止』の呪縛を吹き払って、被爆国の政府として核兵器禁止条約に参加すべきです」と強く求めました。
最後に、憲法論議をどう進めるかについて、志位氏は「憲法9条を変える議論ではなくて、憲法9条を生かした平和外交の議論を大いにやっていきたい」と強調。藪中三十二元外務事務次官が著書のなかで、“ASEAN諸国は日本を一番信頼してくれている。日本の強みは信頼力にある”と指摘していることに触れ、「憲法9条がつくりだしてきた『信頼力』を生かした外交で、アジアと世界の平和に貢献することが日本に求められています」と訴えました。