2022年5月1日(日)
国民支える労働者守れ
きょうメーデー 賃上げ2万円実現も
建交労愛知学童保育支部
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コロナ禍で国民生活を支えるケア労働者の待遇改善が焦点となるなか、全日本建設交運一般労働組合(建交労)愛知学童保育支部では、政府の賃上げ補助金(処遇改善特例事業)も活用して、最高2万円をはじめほとんどの職場で賃上げを実現し、メーデーを迎えました。(江田耀)
「2、3月は、政府の補助金1万1000円が全額手当として支給された。満額還元してもらえたのはありがたい」。こう話すのは名古屋市内の学童保育指導員、Aさん(26)。
学童保育への補助金は法定福利費の事業主負担増2000円を含め計1万1000円。同事業をめぐっては、愛知県内では54市町村のうち29市町村の申請にとどまるなど申請率の低さが課題でした。
組合は、自治体に対して国への申請や補助金の速やかな支給、事業者に活用を促すことを要請。各職場での協議も強化し、申請と上乗せにつなげました。
田村一志支部書記長は「自治体に予算確保を求め、学童保育所にも処遇改善を活用し賃上げをするよう求めてきた」と一体的な取り組みが成果につながったと強調します。
組合は、46年にわたり名古屋市や愛知県への運動や、建交労全国学童保育部会とともに政府や国会に要請し、学童保育施策の改善や指導員の労働条件向上を実現してきました。
田村氏は、今春闘の賃上げ額は昨年の平均額5180円から、倍以上になったと述べる一方で、「国の補助金の単価そのものが圧倒的に低い。単価を大幅に引き上げ、正規職員を十分に配置できるよう求めていきたい」と話します。
子どもの権利守るため
名古屋市内の学童保育指導員のBさん(30)は、「そもそも学童保育指導員は低賃金。国は私たちを労働者として認めていないように思う。今度の処遇改善だけで解決しない。指導員に関わる人件費や施設への補助金を大幅に増額してほしい」と話します。
建交労のアンケートで指導員の平均賃金は17・6万円で、全産業平均30・8万円と比べて、13・2万円の開きがあります。
田村氏は「国の補助額が低いため非正規雇用の自治体が多い。今回の補助金は申請主義なので賃上げに積極的な事業所しか活用されない。名古屋市内では父母会運営で財政基盤が不安定にならざるをえず、正規雇用でも賃金引き上げなどが難しい」。
指導員はコロナ下で消毒や検温など感染対策も求められており、「専門性があり誰でもできる仕事ではないのに賃金が見合わないため人が集まらず休みも取れない。やりがいだけでは働けない」とBさん。手洗い場が一つのため30人の手洗いだけで30分もかかり、「子どもがやりたいこと、本当に子どもに必要なことができない。施設を改善してほしい」と訴えます。
別の指導員も、名古屋市が貸し出す施設はプレハブで「夏は暑く冬は寒い。(断熱材や強化ガラス設置など)父母会が独自に改善している」と話します。
田村氏は「指導員の身分保障と子どもたちの権利が守られる学童保育制度を求めて運動していく」としています。