2022年4月30日(土)
「『核抑止』脱却が重要」
核禁条約締約国会議 クメント議長
|
【ワシントン=島田峰隆】6月に開かれる核兵器禁止条約第1回締約国会議で議長を務めるオーストリア外務省のアレクサンダー・クメント軍縮局長は28日、核兵器をめぐる議論について「『核抑止』が機能するという思考から脱却することが極めて重要だ」と強調しました。締約国会議は「『核抑止』の合法性が疑われていることを示す機会になる」と指摘しました。
国際平和ビューロー(IPB)や国際労働組合総連合(ITUC)などがこのほどまとめた共通安全保障に関する報告書についてのオンライン企画で発言しました。
クメント氏は、ロシアによるウクライナ侵略などを念頭に「核兵器は現に存在する脅威だということが誰の目にも明らかになっている」と強調。「『核抑止』の基本的な考え方は核兵器を使う点にある」「相互破壊の脅威に基づく安全保障は持続可能ではない。最終的にはおぞましい核戦争へつながり、事故や誤解の危険も増大させる」と批判し、「核抑止力」論の克服を訴えました。
クメント氏は「『核抑止』の抽象論」と比べて「禁止条約は核兵器使用による地球規模の影響や危険の観点から核兵器を捉えており、まさに共通安全保障の条約だ」と強調しました。締約国会議について「禁止条約の広がりを示す場にしたい」と意欲を語りました。
核兵器禁止条約に懐疑的な国に対しては「もっとも懐疑的な人であっても、核兵器のない世界をつくるには禁止が必要になるという見方は共有できる」と述べました。