2022年4月28日(木)
軍事費倍増の自民提言
先制攻撃可能な「反撃能力」 国家中枢まで攻撃範囲拡大
BSフジ 小池書記局長が主張
日本共産党の小池晃書記局長は26日夜のBSフジ番組「プライムニュース」で、「国家安全保障戦略」などの改定に向けた自民党安全保障調査会の提言(27日、政府に提出)について、同会会長の小野寺五典元防衛相と議論しました。小池氏は相手国の中枢に対する違憲の先制攻撃の危険性を指摘。大軍拡計画をやめて9条にもとづく平和外交への転換を強く主張しました。
歴代政権が保有は違憲だとしてきた「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に名称変更して保有すべきだと提言したことに対し、小池氏は相手国が攻撃に「着手した」と認定すれば攻撃を可能とする問題点を指摘。「反撃ではなく実際は先制攻撃になりかねない」と批判しました。司会の反町理氏の「第一撃を受けたうえでの反撃ということか」という質問に小野寺氏は、明白に攻撃されると分かった段階で「仮に攻撃を受けていなくても日本が攻撃を受けたと判断する」と述べ、「第一撃」を受ける前でも攻撃する考えを示しました。
小池氏は、攻撃の対象範囲がミサイル基地にとどまらず「指揮統制機能等」に拡大されたことで「国家の中枢まで標的になる。周辺国に対して大きな脅威になりうる」と強調。「必要最小限度の自衛力」を超える軍事力の保有につながると指摘しました。
国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に大軍拡を進めることについて、小池氏は「今の軍事費を2倍にするということだ。そうなれば世界第3位の軍事力を持つことになる。憲法9条を持つ国としてありえない」と厳しく批判。「財源をどうするのか。国を守ると言うのであれば、国民生活に犠牲を強いるのでなく、食料自給率やエネルギー自給率の向上にこそ真っ先にお金を使うべきだ」とただしました。
小池氏は、自民党提言がウクライナ侵略を受けてロシアを「現実的な脅威」と認定したことをうけ、改めてロシアの覇権主義に目をつぶって「協力関係」を優先してきた対ロ外交の失敗を認めるべきだと主張。安倍晋三元首相による千島列島の事実上の2島返還への後退を例に挙げ、「こうした対ロ外交がプーチン大統領を助長させた」と批判しました。
共産党の安全保障政策について小池氏は「憲法9条に照らせば自衛隊が憲法違反であることは間違いない」としたうえで、東アジアの安全保障をめぐる状況をふまえれば「一足飛びに今すぐなくすことはできない」と指摘。あくまで国民の圧倒的多数の合意によるものだと強調しました。そのうえで、何より大事なのは「9条を生かした徹底した平和外交」であり、「9条も国民の命もどちらも守るのが日本共産党の立場だ」と述べました。
日本は核禁条約参加でイニシアチブを
小池氏は小野寺氏が、ウクライナ侵略でのロシアの核兵器による威嚇をあげ、国連が機能していないと主張したことに対し、国連が採択した核兵器禁止条約に日本が背を向けていることを批判し「核禁条約に参加してイニシアチブを発揮すべきだ」と主張しました。
小野寺氏は、ロシアの核によるどう喝や一方的な武力行使を見ていると「国連がそれなりに機能しているとはとてもみえない」と主張しました。
小池氏は国連総会が141カ国の賛成でロシアの侵略を非難する決議をあげたことなど国連の歴史でもかつてない働きを示しているとしたうえで、「国連は核兵器禁止条約を採択し、今86カ国が署名、60カ国が批准する大きな流れになっているのに、日本は背を向けている」と指摘。「国連の機能を発揮させるべきだというのであれば、特に核によるどう喝がロシアによって行われているもとで、核兵器禁止条約に参加することが重要だ。日本が国連の中での役割を果たすべきだ」と批判しました。
小池氏は、「プーチン大統領のように、どんな被害が出ても核兵器の先制使用をためらわない核大国の指導者がでてきた以上、核抑止力論は通用しない」と主張。「核抑止力論」に固執する小野寺氏を批判しました。
小池氏は「核兵器禁止条約というのは核をもつことも、威嚇することも、研究することも、製造することもすべて違法であるということを認定している。核の違法性を国際的に認知するということは核兵器を使う国々の手をしばる大きな力をもつ」と強調しました。