2022年4月23日(土)
志位さん、科学的社会主義を大いに語る(下)
学生オンラインゼミ 詳報
日本民主青年同盟の「社会は変わるし、変えられる――志位さんと語る学生オンラインゼミ」第2弾(17日)で日本共産党の志位和夫委員長が全国の学生からの質問に答えた内容の後半を掲載します。
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ロシアの侵略をどう分析しますか?
「ロシアのウクライナ侵略について、科学的社会主義の見地からどんな分析ができますか?」との質問がありました。
志位さんは、ロシアが侵略した最大の要因は「ロシアの歴史に根深く流れている覇権主義」だと指摘。マルクスとエンゲルスが19世紀の二つの覇権主義――「帝政ロシアの膨張主義」と「イギリス資本主義の植民地主義」を告発し、たたかったことを紹介しました。
その後、ロシア革命でレーニンが世界で初めて「民族自決権」を宣言してポーランドなどの分離・独立を実行したが、スターリンになってバルト3国を支配下に置き、千島列島を不法に占拠、東欧を「勢力圏」に組み入れるなど「帝政ロシアの覇権主義が乱暴な形で復活した」と批判。スターリンの死後もチェコスロバキアやアフガニスタン侵略などを繰り返しました。志位さんは、「1991年にソ連は崩壊しました。しかし覇権主義は残りました。それがプーチンに乱暴な形で引き継がれています。プーチンは“ロシア帝国の末裔(まつえい)”ということです」と批判しました。
旧ソ連の覇権主義を厳しく批判し、党への干渉攻撃を打ち破ったのが日本共産党だと強調。綱領に「どんな国であれ覇権主義を許さず、平和の国際秩序を築く」と書き込んだことにふれ、「日本共産党の立場は、ロシア覇権主義に対してもイギリス植民地主義に対しても厳しくたたかった、マルクス・エンゲルスの立場を受け継いだものです」と強調しました。
科学的社会主義を学ぶコツは?
「しっかり科学的社会主義を勉強したい。コツなどありますか?」との質問も。
志位さんは、「マルクス・エンゲルスの著作である古典にじかに挑戦してほしい」と強調。「さまざまな分野でどうしてそういう結論が引き出されたのかという方法、流れている精神をつかむところに古典を読む値打ちがあります」と話しました。
「古典は読む者の理解の水準や、読んでいるときの問題意識に従って、さまざまな内容をくみだせます」と力説。「一度読んで分からなくても気にせず、次に読んだときに新しいものを発見すればよいと思って読んでほしい」と語りました。
志位さんは、「それにしても古典の手引きがほしい」という人に、「ぜひ、お勧めしたい文献」として、不破哲三さん(党社会科学研究所所長、前議長)の『古典教室』全3巻、「『資本論』全三部を読む・新版」全7巻を「最良のものと思います」と紹介。「マルクス、エンゲルスを彼らの歴史のなかで読む」という方法での不破さんの理論的探究は、「世界的な目で見ても、他に見られない大きな業績と思います」とのべました。
さらに志位さんは、「私たち日本共産党の綱領も読んでほしい」「私たちの綱領も『願望』で書かれているのではありません。世界と日本の現状の科学的な分析に立って変革の道筋を明らかにしています。この基礎にあるのが科学的社会主義です」とのべました。「科学的社会主義は世界を変革する理論です。だから世界と日本を変えるためにたたかい、実践してこそ深くつかむことができます」とのべました。
矛盾が極まっているのに社会主義になぜならないのか?
「気候危機や格差と貧困が世界を脅かしていて資本主義社会の矛盾は極まっていると思いますが、どうしてまだ社会主義にならないのですか?」との質問がありました。
志位さんは「資本主義の客観的矛盾がどんなに深刻でも、自動的には崩壊しません」と指摘。「資本主義が発展すると、その矛盾とともに、資本主義を維持しようという仕掛けの力も大きくなる」として、支配体制を支える巨大メディアの働きにもふれながら、「資本主義を変革する主体的条件――人民のたたかいが発展し、組織され、一つの政治的力になってこそ、新しい社会に進むことができます」とのべました。
この点で、「ソ連のやっていること、ソ連の理論こそが唯一の共産主義だ」といって「まがい物」の理論を世界中の運動に押し付けてきた歴史に言及。これに対して日本共産党は、ソ連や中国の干渉によって党が分裂した経験を総括して、「自主独立の路線」を確立し、干渉攻撃を打ち破り、マルクス・エンゲルスの本来の理論を現代によみがえらせる努力を重ねてきたことを紹介しました。
志位さんは「日本共産党が創立100年を迎え、日本の政治のなかで重要な勢力として意気軒高に頑張れるのは、こういう歴史があるからです」と強調。綱領に「日本共産党が果たすべき役割は、世界的にもきわめて大きい」と書き込んだことにふれ、たたかいへの決意を語りました。
社会主義は「脱成長」?
当日、会場からも質問が出されました。
「社会主義は『脱成長社会』という主張があります。社会主義になったら生産力の発展は重視されなくなるのでしょうか」との質問に志位さんは、「社会主義社会は、資本主義社会のもとで築かれた生産力を、より豊かな形で発展させる社会です」と答えました。
志位さんは、気候危機問題を例にあげ、資本主義のもとでの「大量生産・大量消費・大量廃棄」という野放図で浪費的な「発展」のあり方を改め、省エネルギー・再生可能エネルギーによって、低エネルギー社会に転換していくと強調。「『気候危機を打開する日本共産党の2030戦略』が明らかにしているように、省エネ・再エネによって、エネルギー消費は減りますが、雇用とGDP(国内総生産)は増えます。私たちは『脱成長』という考え方をとりません。自然と人間が調和し、浪費をなくし、成長も実現する。豊かな質をもった経済発展をめざします」と強調しました。
続いて「『歴史の必然』という言葉が出てきましたが、『歴史の偶然』もあるのですか」という質問が。志位さんは、「歴史は無数の偶然の中に必然性が貫かれるという関係にあります。そこに弁証法の妙味があります」と語りました。
社会の変革のために力をあわせよう
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最後に志位さんは、「学生へのメッセージ」を求められ、マルクスが若い時期に書き付けた「フォイエルバッハに」のテーゼの一つに、「哲学者たちは、世界をさまざまに解釈してきただけである。肝要なのは、世界を変えることである」(パネル)と記していることを紹介しました。
「科学的社会主義は、世界を変革するための理論です。社会の現状を『仕方ない』とあきらめるのではなく、社会の変革のためにみんなで力をあわせていくための羅針盤です」と強調。「一度しかない人生を社会進歩の方向に重ね合わせて生きる、そこにこそもっとも人間らしい生き方があると思います。そういう生き方を選び取ってください」と語りかけました。
(おわり)