2022年4月18日(月)
世界と社会変える力に
科学的社会主義テーマに
志位さんと語る学生オンラインゼミ
民青が開催
日本民主青年同盟(民青)は17日、日本共産党の志位和夫委員長を講師に2回目となる「社会は変わるし、変えられる―志位さんと語る学生オンラインゼミ」を開催し、「科学的社会主義」について学びました。党本部の会場から全国に中継され、全国の約150会場で約750人の学生らが参加。ユーチューブで同時視聴する学生も広がりました。学生班の同盟員から寄せられた質問に志位さんが答える双方向の企画となり、「社会の矛盾や歴史の見方が分かり新鮮だった」「学んだことを力にして行動していきたい」などの感想が出されました。
|
全国の学生からは、「マルクスを学ぶ意義とは」「弁証法とはなにか」「社会主義・共産主義の具体的なイメージは」など、科学的社会主義をめぐるさまざまな質問が寄せられました。志位さんは、自身の科学的社会主義との出会いや学生時代に物理学を学んだ思い出、現代物理学にエンゲルスの弁証法的自然観が大きな影響を与えたことなども振り返りつつ、ロシアによるウクライナ侵略や社会主義と自由・民主主義の関係など現在の問題と切り結びながら、科学的社会主義の基礎について縦横に語りました。
司会は、民青副委員長の中山歩美さん。
学生からは、「科学的社会主義の『科学的』とはなにか」との質問が出されました。
志位さんは、「『科学的』とは『願望』でなく、『事実から出発して法則を見いだす』ということです」として、科学的社会主義が、「願望」=「青写真」を押し付ける「空想的社会主義」を乗り越えて生まれたものだと答えました。その上で、マルクスの「二つの偉大な発見」として、(1)史的唯物論(2)剰余価値―を解説し、「この二つの大発見によって社会主義は科学になりました」と力説しました。
「マルクスの『資本論』は何がすごいのか」との質問に、志位さんは、「すごいことだらけですが、資本主義を人類が到達した最後の社会と見ずに、歴史的な生成・発展・没落の中で捉えた―その法則を明らかにしたところに『資本論』の一番のすごさがあると思います」と回答。『資本論』を読むうえでの注目点として、マルクスが「過去の社会」「未来社会(社会主義・共産主義)」との比較を通じて資本主義社会の特徴を明らかにしていることをあげ、「『資本論』というと、資本主義社会の研究だけをやった本だと思われるかもしれませんが、『資本論』には人類の歴史の全体が出てきます」と語りました。
旧ソ連や中国などは自由がない、表現規制などイメージが悪いとして、「社会主義や共産主義の理論にはそういう問題があるのか」との疑問も。志位さんは、「もともとの理論は問題があるどころか正反対です」と述べ、プロイセンの検閲制度に反対したマルクスの論文を紹介して、マルクスとエンゲルスが出版・結社・集会の自由のためのたたかいを労働者運動の中心課題として一貫して重視したことを紹介。「『自由がない』『独裁と専制』などは科学的社会主義とは無縁のものです」と強調しました。
その上で、なぜ旧ソ連や中国では自由がない制度になっているのかについても回答。志位さんは、「出発点の遅れ」「指導者の誤り」の問題をあげ、ロシア革命前の帝政ロシアにも、中国革命前の中国にもまともな議会が存在しなかったことなどを指摘しました。一方で、日本は高度に発達した資本主義国だとして、「これを土台にして社会主義に進むわけです。自由がない制度への逆行は起こりえないというのは、綱領の約束であるとともに歴史の必然です」と話しました。
社会主義・共産主義の社会に踏み出すうえで、「資本主義の中にヒントはないのか」との疑問が投げかけられました。
志位さんは、「ヒントはあります」として、「発達した資本主義のもとでは次の社会―社会主義・共産主義に引き継がれ、発展させられる要素が豊かな形で作り出されています」と指摘。党綱領に書き込んだ「五つの要素」として(1)高度な生産力(2)経済を社会的規制・管理する仕組み(3)国民の生活と権利を守るルール(4)自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験(5)人間の豊かな個性―を示し、「これを見ると未来社会のイメージもわくんじゃないでしょうか」と語りかけました。
中山さんは、「全然違う社会に進むわけではないんですね。すごくいい社会のイメージがわきました」と答えました。
現在の情勢と関わって、「ロシアによるウクライナ侵略について、科学的社会主義の見地からどういった分析ができるか」との質問が出されました。
志位さんは、ロシア・プーチン政権の侵略の最大の原因が、「帝政ロシア以来のロシアの歴史に根深く流れている覇権主義」だと指摘。「プーチン大統領は、“帝政ロシアの末裔(まつえい)”」だと批判しました。
19世紀のヨーロッパで、マルクスとエンゲルスが「帝政ロシアの覇権」「イギリス資本主義の植民地主義」に対して一貫した告発とたたかいを行ったことを紹介し、「どんな国であれ、覇権主義は許さない―これがマルクス、エンゲルスの立場でした」と語りました。
「科学的社会主義を勉強するコツを教えてほしい」との質問も。志位さんは、「古典(マルクス、エンゲルスの著書)にじかに挑戦してほしい」と呼びかけ、「科学的社会主義をできあがった結論としてつかむのではなく、どうやってその結論が引き出されたのかという方法、そこに流れている精神をつかむところに古典を読む値打ちがあります」と強調。また、「自分自身の認識発展、問題意識の発展にともなって、何度も読み返していくと、そのたびに新しいものをくみ出すことができるのが古典です」と語りました。
最後に志位さんは、マルクスが若い時に書き付けたテーゼ(「フォイエルバッハに」)を紹介。「哲学者たちは、世界をさまざまに解釈してきただけである。肝要なのは、世界を変えることである」―。志位さんは、「ここに人間の解放をめぐる唯物論と観念論の対立が見事に定式化されています」と述べ、「科学的社会主義の理論は、この世界を変えるための『変革の理論』です。社会の現状を『仕方ない』とあきらめるのではなく、自由で平等な社会、多くの人々の幸福が実現する社会に向けて変えていく。そういう生き方を選び取ってほしいと願います」と結びました。