しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年4月17日(日)

主張

物価高騰対策

もはや一刻の猶予も許されぬ

 コロナ危機に加えて物価の高騰が国民の暮らしと中小企業の営業を直撃し、日本経済は先の見えない苦境に陥っています。しかし岸田文雄政権はいまだに抜本的な対策をとろうとしません。危機が深刻化する前に編成された2022年度当初予算では対応できません。岸田首相は国民の苦しみに向き合い、直ちに補正予算の編成を指示すべきです。

燃油、小麦引き下げを

 昨年来、コロナ危機で止まっていた経済活動が各国で再開され、世界的な需要増で原油の国際価格が上昇していました。それに追い打ちをかけたのがロシアのウクライナ侵略です。日本では日銀総裁が大規模な金融緩和政策をさらに続けると繰り返し発言したことで、円安がいっそう進み、輸入物価が上がっています。

 レギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格は昨年4月の150円からいまや170円台半ばに値上がりし物価全体を押し上げています。ロシアとウクライナが世界輸出高の3割を占める小麦の輸入価格も上昇しています。

 中小企業は原材料の急速な値上がりに直面し、顧客離れを覚悟して価格転嫁するか、利益を減らして値上げを抑えるか、ぎりぎりの判断を迫られています。

 民間信用調査会社、帝国データバンクが4月初めに実施した調査によると、3月までの半年間に製品、サービスを値上げした企業は33%、4月以降に値上げを実施または予定している企業は43%に上りました。アンケートには「戦争地域で小麦生産が回復するまで影響が長引く」(北海道のラーメン店)と物価高の長期化を恐れる声が寄せられました。「値上げすると競合他社に負けてしまう」として6社に1社が「値上げしたいができない」と答えました。

 農業も窮地に陥っています。全国農業協同組合中央会の中家徹会長は7日の記者会見で「肥料・原料価格が平年の3倍に急騰している」と訴えました。今後、輸入原材料を確保できるのか、不安が高まっているといいます。

 もはや一刻の猶予も許されません。日本共産党国会議員団は15日、「コロナ危機と物価高騰からくらしと営業を守る緊急の経済対策」を政府に申し入れました。

 石油価格への対策は急務です。ガソリン価格が高騰した場合に揮発油税を減税するトリガー条項の発動を含め、卸売価格を引き下げる対策が必要です。中小企業の事業用燃油、農漁業用燃油の価格も引き下げなければなりません。

 輸入小麦は国内消費の9割を占めます。政府が買い付け価格に管理経費などを上乗せして製粉業者に売り渡します。農林水産省は売り渡し価格を4月に17%引き上げました。影響はあまりに大きく、引き下げが当然の措置です。

消費税は直ちに5%に

 物価高騰で消費が冷え込んでいる今、消費税率を直ちに5%に減税することは何よりも重要です。零細業者の負担を増やすインボイス制度の導入は中止すべきです。

 水田活用交付金カットの中止、肥料・配合飼料価格安定のための財政措置、過剰米の国による全量買い上げも農業生産者の切実な要求にこたえる対策です。

 困窮者への給付金は住民税非課税世帯に限定しないなど生活にもきめ細かい施策が求められます。


pageup