しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年4月15日(金)

ロ軍の「戦争犯罪」認定

病院・劇場攻撃など報告書

マリウポリ OSCEが調査

 欧州安保協力機構(OSCE)は13日、ロシア軍の侵略を受けたウクライナでの国際人道法、国際人権法違反の実態に関する初めての報告書を公表しました。南東部マリウポリでの産科・小児科病院や劇場の攻撃について、戦闘が続いていて十分に検証できていないものの、「戦争犯罪」だったと認定しました。(伊藤寿庸)


 OSCEは、米国、ロシア、ウクライナを含む欧州、北米、中央アジアの57カ国で構成します。ウクライナとこれを支持する45カ国が調査の開始を決定し、オーストリア、スイス、チェコの国際法専門家3人で調査団を結成。調査期間は2月24日から4月1日までで、ウクライナ当局や多くの非政府組織、当事者からの情報・聞き取り、報道やSNSなどに基づいて100ページを超える報告書を作成しました。

 3月9日の南東部マリウポリの産科・小児科病院の攻撃については、「ロシアの攻撃によって破壊された」と断定。ロシア以外の情報源によれば、病院であることは明確に認識でき、当時医療活動が行われていたことが確認できたことなどをあげ、「明確な国際人道法違反で、責任者は戦争犯罪をおこなった」と述べています。

 多くの市民が避難していた同市の劇場が16日に、ロシアの空爆によるとされる強力な爆発物で破壊された問題では、多くの子どもが避難していることが表示されていたことから「意図的であることは議論の余地はない」と指摘。ロシアが、ウクライナ部隊「アゾフ大隊」が爆破したと主張していることについては、それを示す証拠は受け取っていないとしました。「国際人道法の目に余る違反の可能性がきわめて高く、命令者や実行者は戦争犯罪を行った」としました。

 調査期間終了後に明らかになった首都キーウ(キエフ)近郊のブチャでの虐殺については、「確認されれば、大規模な司法外処刑であり、間違いなく人道に対する罪を構成する」と指摘しました。

 報告書は、学校や医療機関を避けるなどの必要な措置が取られていないことなど、「ロシア軍による国際人道法違反の明確なパターンがみられる」と述べ、ロシア軍が国際人道法を守っていれば「民間人の死傷者はずっと少なかったはずだ」と指摘しました。

 他方で、ウクライナ側にも、捕虜の処遇や、ロシア兵の遺体の写真の流布など問題があったとしています。


pageup