2022年4月14日(木)
経済安保法案 田村智子議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の田村智子議員が13日の参院本会議で行った経済安全保障法案についての質問(要旨)は次の通りです。
「経済安全保障」とは何か、なぜこの法案が必要なのかが、提案理由説明を聞いても、法案の条文を読んでも判然としません。
国家安全保障局長をつとめ、退職後も、内閣府の有識者会議のメンバーとして「経済安保」の政策協議に関わっている北村滋氏は今年2月、大企業向けのセミナーで「経済安全保障とは何か」について、次の3点をあげています。
一つに、「経済を安全保障政策の『力の資源』として利用する」「言わば経済的措置を武器代わりに使うこと」、二つに「我が国や企業が保有する機微な情報、先端技術をいかに守るのか」、そして三つ目に「自由で開かれた国際経済システムの維持」「特に同志国との連携が重要」。これらは、政府の「経済安全保障」の考え方と同じでしょうか。
「経済安全保障」とは、経済を守ることではなく、「日本防衛」の手段、あるいは国家間の争いに対する「力」「圧力」として、経済的措置をとることにほかなりません。
北村氏は、「今回の法律は、『経済安全保障体系』というものがあったとすると、その一部と考えてもらった方がいい」と取材に答えています。
事実、2020年4月、国家安全保障局には経済班が設置され、すでに「取り組みを推進」と政府資料に記載されています。重要土地規制法によって、米軍基地・防衛省施設の周辺で土地取引を監視できる仕組みがつくられました。外国からの研究資金・研究に参加する外国人留学生についても規制措置がとられ、外為法で輸出に対する新たな規制措置もとられています。
北村氏が「経済的措置を武器代わりとして使う」とする「経済安全保障」における経済的措置とは、国連の枠組みとは別に、日本独自で、あるいは同志国とともに行うものではありませんか。
18年、韓国大法院が元徴用工への賠償を日本企業に命じる判決をだし、政府は19年、半導体素材などの輸出規制の措置を韓国に対してとりました。いまだ日韓での協議は続いていますが、「不適切な事案」とは何かの説明も、「安全保障に関わる取引情報」だとして明らかにされていません。
「経済安全保障」でとられる措置は、経済界と協議するとされていますが、過去の事例に照らせば、時の政権の外交上の理由で、いきなり「経済安保」の措置がとられ、「安全保障」を理由に関係企業に何の説明もない、ということが起きませんか。「国家の安全保障」を理由としたとき、違反行為とされた事案が、不当な捜査や逮捕につながることも危惧されます。
先端技術、革新的技術研究は、防衛装備開発にもつながり、「経済安保」政策の重要な柱となっています。法案では、特定重要技術開発基本指針を総理大臣が作成し、閣議決定すること、この基本指針にもとづき、各大臣が、官民共同の協議会を組織できるとしています。当然、研究成果をどこまで公開にするかについて、政府の意向を反映させることができると考えます。また協議では、資金の出し手である政府側の意向を受け入れざるをえなくなるのではありませんか。経済活動や研究を、「国家安全保障」の手段とすることには多くの危惧があり、徹底審議を求めます。