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2022年4月8日(金)

主張

米軍機の空中給油

「陸地上空で行わず」守らせよ

 甲府市上空付近で米海兵隊のKC130空中給油機とF35B戦闘機が空中給油を行っていたことが大きな問題になっています。米軍機の空中給油訓練は「陸地上空では行わない」とした日米間の確認に反するためです。今回の空中給油は日米共同訓練のさなかに実施されており、防衛省・自衛隊が黙認していた可能性もあります。岸田文雄政権は、事実関係を徹底調査し、米側に二度と約束違反を犯さないよう毅然(きぜん)と迫るべきです。

防衛省は知らなかったか

 この問題は、3月23日に甲府市で市民が上空を飛行する軍用機が空中給油をしているところを撮影し、機体番号などから米海兵隊岩国基地(山口県)のKC130であることが分かり、発覚しました。その後、米国防総省の映像情報配信サービス(DVIDS)が、岩国基地のKC130とF35Bが同日、「富士山近くで空中給油をした」とし、その写真を公開していたことも分かりました。

 米軍機の空中給油訓練については、2017年に当時の稲田朋美防衛相が陸地上空で実施しないことを米側と確認したと明言しています。これは、16年12月に沖縄県名護市の海岸に米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイが墜落した事故を受けての措置でした。事故は、空中給油機から伸びた給油ホースにオスプレイのプロペラが接触したのが原因でした。

 17年1月にオスプレイは空中給油再開を強行します。その際、稲田氏は「米側において、今後とも空中給油訓練は陸地から離れた海域の上空でしか実施しない、陸地の上空では実施しないということも確認をした」(同5日の記者会見)と述べていました。さらに、同年2月22日の衆院予算委員会分科会で「空中給油訓練の実施場所は、オスプレイに限るものではなく、全ての米軍機に当てはまる」と答弁していました。

 岸信夫防衛相は日本共産党の井上哲士議員の質問に対し稲田氏の説明は「当時の(防衛省)地方協力局長と在日米軍副司令官との間で緊密にやり取りをし、事務レベルでも継続的な協議を重ねて日米間で共通の認識を確認した」もので、「現時点でも変わるものではない」と述べています(今年3月31日、参院外交防衛委員会)。そうであれば、今回の約束違反について米側を厳しく追及すべきです。

 問題となっている空中給油が東富士演習場(静岡県)などでの米海兵隊と陸上自衛隊との共同訓練中(3月4日~25日)に実施されていたことも重大です。

 前出のDVIDSは、3月23日に空中給油を受けたF35Bが東富士演習場で模擬の対地攻撃訓練を行ったとしています。陸自も、海兵隊が同日、同演習場でF35Bを使って訓練をしたことを明らかにしています(陸上総隊司令部ツイッター)。防衛省・自衛隊はその際、F35Bが空中給油をしたことを知らなかったのか究明が必要です。

約束違反の横行許されず

 共同訓練は、中国との対立を念頭に離島への上陸作戦を想定したもので、全国各地で実施されています。

 井上議員は今月5日の参院外交防衛委で、米空軍横田基地(東京都)への空中給油機の飛来が大幅に増加していることを指摘しました。約束違反の空中給油を横行させることは許されません。


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