2022年4月8日(金)
科学技術の軍事化推進
経済安保法案が衆院通過 共産党は反対
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衆院本会議は7日、経済安全保障法案の採決を行いました。日本共産党とれいわ新選組が反対。他の会派の賛成多数で可決しました。日本共産党の塩川鉄也議員は三つの理由をあげて反対討論を行いました。
第一に、法案が科学技術の軍事研究化を推進し、学問の自由などへの侵害です。「特定重要技術」の研究開発のために設けられる「指定基金」の研究成果を軍事技術として活用する可能性があると答えており、政府の「伴走支援」が行われる「協議会」の参加者には、これまでなかった罰則付きでの守秘義務が課されます。塩川氏は研究を制約し、「巨額の研究費で軍事転用可能な技術の強化を狙うものだ」と指摘。特許出願非公開制度の導入は戦前の「秘密特許」制度の復活に他ならないと強調。法案の先に研究者・民間企業も対象とした秘密保護法制の拡大につながる制度も検討されていることを批判しました。
第二に、政府による企業への介入の強化です。基幹インフラの事業者に納品業者・委託業者などを事前に届け出させ、政府が審査、勧告・命令まで行います。この間、「経済安保」の名の下でえん罪事件も起きており、恣意(しい)的な規制が拡大する懸念を指摘しました。
第三に、政官業の癒着です。企業への規制とともに助成などの支援策が盛り込まれています。塩川氏は「半導体大手TSMCのように巨額支援が横行しかねない」と指摘。法案が重要事項を138カ所も政省令に委ね、政府への白紙委任といえるもので、このことが企業による政府への特別な働きかけの契機となり、「天下り」など「政官業の癒着は避けられない」と批判しました。
岸田文雄首相は国家安全保障戦略への経済安全保障の位置付けを表明しており、塩川氏は「軍事・経済の両面で日本が米国の安保戦略に組み込まれることは明らかだ」と強調しました。