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2022年4月5日(火)

京都府立植物園守れ

「かじかわ府政」誕生で

知事選10日投票

 「府立植物園を壊さないで」―京都府の北山エリア整備基本計画には全国から見直しを求める約13万人もの署名が寄せられています。計画推進の現職と白紙撤回を訴える、「つなぐ京都2022」の、かじかわ憲候補が争う京都府知事選(10日投開票)の熱い争点です。(足立裕紀子)


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(写真)比叡山を望める園内で満開の桜を楽しむ来園者=1日、京都市左京区の府立植物園

 府立植物園(京都市左京区)は1924年に開園した日本初の公立総合植物園です。戦後12年間、米軍に接収されて荒廃したものの、再建されて発展。総面積約24万平方メートルに約1万2千種12万本の植物が生きています。春は約500本の桜が咲き誇ります。植物園が桜の満開宣言をした1日、平日でも多くの人が訪れました。

 「植物園は何度来ても飽きません」と話すのは4歳の息子と散歩に来た北区の女性(38)。「気軽に植物のことを教えてもらえる場所で唯一無二。開発なんてしてほしくありません」とキッパリ。

 「植物園は生物の多様性を楽しみながらゆっくり学べる場所。私の孫は4歳ですが同じ白い花でもコブシとモクレンの違いがわかるようになりましたよ」。そう話すのは近隣に住み、「京都府立植物園整備計画の見直しを求める会(なからぎの森の会)」の共同代表でもある、同志社大学名誉教授の鯵坂学さん。幼い頃は親に連れられ、中高生の頃は写生をしに、今は毎週、孫と植物園を訪れます。

 「府立大学の真ん中に1万人規模のアリーナを造り、その動線に植物園を使おうとしている。大学と植物園の機能を壊す計画で、あり得ない」と憤ります。

 「文京住宅地として形成されてきた地域のあり様も大きく変えてしまう計画です。植物園は故郷の庭。壊されるのは故郷を侵される気持ちです。今のまま孫の世代に残したい」

 府立植物園の元園長で日本植物園協会の副会長も務めた金子明雄さんは「世界の植物園ではあり得ない計画です」と批判します。

 「京都府立植物園は植物の収集・保存・栽培育成、そして展示をして見てもらう場所。憩いの場だけでも研究の場だけでもない。100年かけて積み上げてきた『生きた植物の博物館』であり、常に変化している未完の施設です」と話します。

 「現在の植物園とは全く違う施設に造り替えられてしまう計画でいいのか。府民に知ってもらい、知事選でもしっかり問われてほしい」と厳しい口調で語りました。

 2日、植物園を訪れた南区の女性(74)は「府立植物園が大好き。新聞で計画を知って怒っていた」と言います。「かじかわさんが白紙撤回を訴えているとは知らなかった。だったら応援します」

 現職の西脇隆俊候補は「(計画を)次の段階に進めていく」(昨年11月12日の定例会見)としながら、選挙戦で「北山エリアにさらなるにぎわいが必要?」と問われると「どちらとも言えない」と回答(「京都新聞」3月30日付)。争点化を避け、組織票を固めて逃げ切り、選挙が終わったら計画を進める魂胆です。

 「植物園を守るには知事を代えるしかない」(都築澄子・なからぎの森の会共同代表)。文字通り一騎打ちの知事選。府民が望まない計画に白紙撤回の審判を下すチャンスです。

 北山エリア整備基本計画 府立植物園を中心とした落ち着いた京都市左京区の北山エリアに官民で「賑(にぎ)わいを創出」しようという計画。府立大学(学生数約2千人)の体育館を1万人規模のアリーナに建て替え、そこへの動線と一体で植物園の商業化(レストランやショップなどを整備)を図ろうとしています。ウバメガシの垣根を削り出入り口を増設し、大芝生地に野外ステージを設置、またバックヤード(植物を栽培・管理するエリア)への影響も懸念され、植物園の変質が狙われています。植物園の再開発とアリーナ建設、旧総合資料館跡地へのシアターコンプレックスの建設だけで約350億円と見込まれています。


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